第28章 少女のいる世界
『わ、た…?…な、なんで私?』
そんな、そこまで言う相手が…?
そんなに私が執着してしまうだなんて、本当に何があったのこの人と。
「おう、お前が。割と誰でも知ってる話だよ…大丈夫さ、お前に殺されるんなら俺は本望だし」
『…普通、嫌がりません?』
「全然嫌じゃねえんだから仕方ないだろ?その代わり、お前が俺から離れようものなら死に物狂いでそばにおく…監禁してでも手放さない。そういう約束だ」
『!監禁、してなくていいの?』
「してほしいの?」
『あ、……貴方になら、されても…嫌じゃない』
「普通、嫌がらねえ?」
『仕方ないじゃないですか、嫌じゃないんですか…ら、?』
不思議。
監禁だなんて言葉を使われているのに、全然怖くない。
あちらが私を置いていくかもしれないという不安や、私を見放してしまうのではないかという恐怖が一気に無くなっていく。
口約束の域を超えたようにすら感じてしまうこの感覚が、どこか私には愛おしく思えた。
『…中也さん、私もギュッてしていいですか』
「勿論。大歓迎だよ」
許可がおりたところで、彼の背に腕を回して、更にピタリと彼の胸にくっついて、安心する。
私、毎日ここで寝てたのかな。
すごく、心地いい。
『えへへ、…、あ、でも私最近太ったは…ずで、…?…!!?ご、ごめんなさい私明日からちゃんとダイエットします!!!!』
「えっ、何、どうした!!?全然太ってねえけど!?寧ろもうちょい肉つけてくれた方が『だ、だだだだって中也さんが、抱き心地が良くなった…、って言って……、?…あ、れ??』!…お前まさかそれ気にして飛び出してったのか!!?」
『だ、だってお肉ついちゃったってことでしょう!!?…って、だから私は何…を………!?、ち、中也さ…中也さん!?』
頭がなにかに目覚めたように覚醒し、今の状況に困惑する。
抱き心地が良くなったと言われて、それに取り乱して飛び出した…そして今、色々と落ち着いてこうして一緒に…?
「蝶…、お前、他に何か覚えてることは?」
『!!……中也さんに太ったって言われた後のことなら』
「んな言い方してねえだろうが!!?お前に向かって俺がそんな物言いするか馬鹿!!」
『口悪いのに…』
「!…本当、不思議と思い出していけるのかもしれないな」
『…あ、あと寝てる間にキスされてるのも思い出したよ』