第28章 少女のいる世界
「立てるか?俺の寝室で寝よう、こっちじゃあんま慣れてないだろうから」
『…はい…、っ…あ、ちょっと…ま、待ってくだ…さ、ッ!?』
膝に力が入らず、ガク、とベッドに崩れてしまう私の体を、彼はヒョイと抱き上げる。
「いいって、無理しなくて。俺的には全然好都合だし」
『好都合、って…』
「お前の可愛らしい反応が見れるからな」
口をつぐんで羞恥に耐える。
なんでそんなことが言えるんだろう。
私、この人とさっき、あんなに…
思い出したところでまた名残惜しさに胸がきゅ、としめつけられる。
なんでだろ、恥ずかしいとか、緊張したとか、そんなのよりもずっと…もっとって気持ちが募ってばっかり。
『…ち、中也…さん』
「何?」
私の顔を覗くように見つめてきた彼の目を見れなくて、思わず顔を俯かせる。
そして、思ったままにそれを口にした。
『〜〜〜っ、…も、う…おしまい?……ダメ、?もう、ダメ?』
「……何をしてほしいのか言ってくれたら、してあげる」
分かってる反応だ、それは。
分かってる、くせに。
気分が良さそうに部屋を移動すると、中也さんは私を彼のベッドに下ろして、また目線を合わせるべく屈んで問う。
「で、どうしてほしいの?…素直な蝶は、もっと好きだぞ俺は」
『!!!…っ…ぁ、の…!…き、す』
「…どこに?」
『………や、やっぱりいい…ッ』
「そうか。じゃあ俺から強請るわ、口にキスして?」
『…へ、』
勿論蝶から。
なんていい笑顔で言ってのける目の前の人に、頭の中が沸騰しそうなくらいに熱くなる。
え、待って、私からって…そんな、した事ないのに。
「ほら、早く。…俺のお願い、聞いてくれねえの?俺はお前のお願いならなんでも聞くけど」
『…や、だって…そ、な…わ、私……?』
「……じゃ、しゃあねえな。…口、開けてみろ」
出される指示に少し疑問を感じつつも、突然ハードルの下がった内容に、それくらいならと唇を開く。
しかし、その直後のこと…彼の唇がそれに重ねられたかと思ったら、熱くて、予測不可能な動き方でうごめくそれが口の中に入ってきた。
『ンっ…!!!?ん、ンンッッ!!!!!!?』
何これ…っ、何これ、何これ。
溶かされる。
頭も、意思も何もかも。
私、この人の好きなようにされちゃう。
この人のものに、されちゃう。