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第27章 飢えて枯れてなくなった


「!…どういうことだい、中也?」

「そのままの意味だ。…終わらせてやった方が、もしかしたらこいつにとっては、自由なんじゃないかとも…思えてな」

「……ボクには判断しかねます。ボクは…“蝶”のことをあまりよく知らない。中也さんが、決断すべきです」

その方が、蝶も喜ぶはずですよ。

小さい頃、蝶を言い聞かせるのによく周りが使っていた言い回し。
“その方が、中也が喜ぶだろうから”。

…確かに、いい言い聞かせ方だ。
この俺にだって通用してしまうくらいなんだから。

「…ダメだろ、俺に委ねたら…、俺に付き合わせちまう事にでもなったら…ッ」

「付き合わせてあげないんですか?…ボクや尸魂界の皆の事は、今は考えなくていいんです。貴方が一番幸せになることが、この子の一番の幸せですよ」

「んな、こと言ったって…ッ」

「答え、ほんとはもう出てるんでしょ?…なんの為に分けてたの、蝶ちゃんの魂」

「「!!!」」

太宰からの核心をつく一言に、目を見開いた。
…そうだ、そのために…だから、俺は迷うことなく蝶の核を破壊した。

あんな奴の手には絶対に渡さないって…俺以外の手に渡るくらいなら、俺がその場で殺してやるって。

それともうひとつ、ちゃんと彼女とは約束をしていたはずだ。
彼女が生に執着するようになって…それで、ちゃんと俺が、幸せにしてやると。

だから、もしものためにと核を分けよう、と…

「……、文句、言うんじゃねえぞお前…っ、デコピンでもしてみやがれ、一日ケーキ抜きにしてやっからな…」

____ケーキ抜きは酷いんじゃない…?…文句ないよ、やっぱり中也は、いつでも二百点満点ね。

聴こえた声にふ、と口元に弧を描いて、それから浦原さんに聞いていた通りに、分けられていた核に願う。

一つ、この核を半分にして、蝶と俺の寿命を同じものとすること。
二つ、蝶の魂を、尸魂界へ還元出来るようにすること。
三つ…これは俺と、そして蝶の二人だけの願い事。

恐らく願えるのはこの機会のみ。
これを逃せば、核は元の四分の一になって俺と蝶の身体に分けられる。
そうなっては、せいぜい蝶の体質を維持するのくらいが精一杯だろうと浦原さんは言った。

俺が願って、彼女の冷たくなった唇にそっと口付ける。

____わがままなヒーローだね

うるせえ、付き合えよ。

____…仕方ないから、そうしたげる
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