第27章 飢えて枯れてなくなった
「…あーあー……俺の、最高傑作が…」
「…手前のじゃねぇ、手前なんかじゃかなわねえよ。蝶にも……浦原さんにも」
蝶の心臓が止まったのと共に、捩摺の姿も消えた。
担任は担任で何かのエネルギーを溢れ出させている。
あっちはもう知らねぇ、それよりこいつは…こいつだけは。
「浦原ぁ?」
「…蝶を創った生みの親さ、偉大な科学者だ」
「はっ、大層な言われようだなぁ!!…その創られたモノと過ごして、恋人ごっこをして、楽しかったかぁ?化け物め……無様な最期だったな。どうせこの場にいる全員が、俺達によって抹殺されるってのに」
「誰が殺されるって…?誰が、無様だって?」
「無様じゃあないか…あそこに転がっている白いのは。…ああ、そういえばさっきまでは黒だったか?まあどっちでもいいが、気味の悪い奴だよ……結局はただの無駄死になのさ、俺の力にもなれもせ、ずに…、?」
両手の手袋を外した…それが合図だ。
俺だって耐えた、あいつが泣いちまうと思ったから。
耐えに耐えて、しかし結果がこれだなんて…余りにも悔しいじゃねえか。
一矢報いるくらいのこと、させてくれたっていいじゃないか…この世で唯一愛する女のためなんだから。
それくらいの無茶、させてくれよ。
それくらいのわがまま、聞いてくれ……なぁ、いいだろ?蝶。
「汝、陰鬱なる汚辱の許容よ____」
「…!中也、君本気かい…っ……、浦原さん!!全員を連れて校舎の方に避難するんだ!!!」
「!例のあれですか!!」
浦原さんが、呆然としつくしている茅野を連れて離れたのを横目に、それを発動させる。
マッハで動くあとの二人は、なんとかなるだろ。
まあ、もうどっちでもいい。
蝶がいないんじゃ、そんな世界…どこで誰がどうなろうが、どうでも。
「____更めて我を目覚ますことなかれ…」
飲み込まれる。
黒に…紅に。
重力を憚らせて、笑うだけの化け物になったっていい。
誰になんと言われたって、どう思われたって、俺にはいつだってお前が…
___中也さん
…ああ、そうか。
お前は、今いないんだっけ。
____無視しないで…聴こえてるでしょう、中也さん
なんなんだよ、こんな時くらいそっとしとけ…暴れるくらいしか出来ないんだよ俺には。
____もう、忘れたの?貴方の中にも、ちゃんと私がいるってこと
「!!!!」
