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第27章 飢えて枯れてなくなった


考える間は、一瞬だった。

「……ッ、ぁ…っ!!!!?」

「え…、」

「________…ッは……、…?」

『……ッ、かハ、っ…!!』

中也を捩摺から離れた場所へと移動させて、私がカエデちゃんと入れ替わった。
これが、正しい…だって、こうすれば誰も死なない。

誰も、死なないんだ。

そう考えていた矢先の事。
二代目の触手が腹部から引き抜かれ、首元を一突きされて、何も考えられなくなった。

『あ…、…ちゅ…う……ゃ…ッ』

「…ッ!!!!!ち、よ…っ!!?蝶!!!!!」

ただ視界の中には貴方がいて、私に向かってきてくれていて。
ああ…やっぱり幸せだった。
貴方に力を使っていて、良かった。














「蝶…っ、おい、嘘だろ!!?蝶!!!!」

「中也さん落ち着いて!!とにかく今は核を!!!!」

「!!そうだ、核が…ッ!!!?」

倒れた蝶の身体に、瞬歩で駆けつけた浦原さんが触れる。
しかし、肝心のその核はといえば…

それを見つけた瞬間に、柳沢の狙いが分かってしまった。

「んん?どうしたんだ、そんなに不思議そうなかおをして…哀れだなぁ、友達ごっこに付き合ってくれた女を一匹守るためなんかに、自分の“本当の命”をかけてしまうだなんて」

二代目の狙いはそこだった…だから、首を突いた。
蝶の身体の中に、核が無かったのだ。

二代目の取り上げた輝くそれが、柳沢の手に渡る。

「美しい…っ、そう、これだ!!これを求め「__んな…」!何か言ったか?」

「…ッッ、触んなっつってんだよ…!!!!!!」

身体に負担をかけるレベルで異能を使って、柳沢の元に一瞬で迫り、その核を掴む。

「なっ!!?貴様、どこまで俺の邪魔をするつもりだ!!!!」

「邪魔は手前だ!!!!こいつが、お前に何をした!!!?いつだって邪魔してたのは手前だろうが!!!!!…っ、手前なんかにくれてやってたまるか!!!!」

そしてそのまま…真っ白に光り輝くそれを、自らの右手で、粉砕した。

__もしもの時は

「!!?貴様っ、それが無くなれば俺の実験が…あいつの命も戻らんのだぞ!!!!」

「〜〜〜ッ、失った命は戻らねぇんだよ!!!二度と!!!!!…っ、あいつの望みだ、手前なんかにくれてやるか……ッ」

脳裏に過ぎるのは、いつか約束を交わした日。

貴方が私を、終わらせて下さい__
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