第27章 飢えて枯れてなくなった
殺せんせーが二代目に向けて攻撃を開始する。
しかし、その中で破壊され続ける縛道を、唱え直し、追加し、複合し…霊力の行使が重なっていく。
『…っ、殺せんせー、まだキツい!?流石に強いものになると、殺せんせーが手出しできなくなっちゃうレベルの拘束になっちゃうの!!』
触手を伸ばし、その怪力の瞬発力で、動きがこれ以上弱められない。
消耗戦に持ってこられるとキツい…喜助さんからの他の隊長格の霊力供給や、あちらの紅姫からの援助があるにも関わらず、だ。
「もう少し、あと少しなんですが…っ」
殺せんせーと二代目の攻防が均衡していた、そんな時。
二代目の触手が一部、弾け飛んだ。
その弾け方には見覚えがある…対触手用の物質による攻撃。
まさかと思って校舎を見れば、作った壁の一部に穴が空いていた。
そして、こちらに小柄な人物が一人……カエデちゃんが、出てきていた。
「か、茅野さん!!?」
『な、…っ、なんで出てきて…!!?』
「殺せんせーが、回復した方がいいんじゃないかって…、蝶ちゃんの壁にも、対殺せんせー用BB弾を同じところに撃ち続けてたら効果があったから」
冬休み前、殺せんせー…それから私の真実を皆に知らせることになってしまったと、後悔を語るカエデちゃん。
だから、今は自分が引き受けるのだと、ナイフを構える。
「私だって、もう立派な暗殺者なんだから…!!」
触手の影響が残っているのか、動体視力を働かせてなんとか避けている。
それをサポートしはするが、この状況は拙い。
中也のサポートをしながらこっちのサポートも、となると、どちらかに何かあったら…
そんな時、柳沢が二代目に向けて、笑顔を向けていることに気がついた。
それに嫌な予感がすれば、彼の親指が立てられていて…それが、下へと向けられたのだ。
その瞬間、カエデちゃんは決定打を与えるべく視覚を突いて、飛び上がって空中から刺しにかかる。
しかしその時、中也と捩摺が攻撃の際に衝突しかけて…槍が、中也に向かっていて。
『あ、れ…ッ』
どうしよう、どうしたらいい?
集中力と演算が命なのに、こんな、どっちも…
こんなに速く動かれると、誰かを移動させて、誰かと入れ替わるので限界だ。
中也と入れ替わる…そしたら捩摺に取り返しのつかない傷を与えてしまう。
捩摺と替われば、中也の異能で二人ともダウンしかねない…
