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第27章 飢えて枯れてなくなった


しかしそこで、一つ救われたことがある。

そこにあったE組皆の姿…それは、谷崎さんの細雪による幻影であったこと。
それに気付いた私に、谷崎さんは困ったように笑ったのだ。

今皆はというと、校舎の中。
だから私がその校舎を壁で覆い、あとはなんとか二代目を凌ぐのみとなる。

『殺せんせー!応戦にきました!』

「ニュヤ!!?蝶さん、柳沢は『中也が…!』…っ、なるほど、それはありがたい!!何とか隙を作れませんか!?あの子は…私の最初の生徒なんです!!!」

『了解です、なんとかしてみます!!』

マッハの“速さ”に対抗する手段は、私にはいくつかある。
まずは座標移動能力…それから、触手の弱点である、水だ。

みんなの所は喜助さんが護ってくれているから、気にしなくても大丈夫…霊力を使っても、他の隊長格の皆が上手くこの世界のバランスを取り持ってくれる。

マユリさんや阿近まで来ているのはそのためだ。
喜助さんの人選を見て、一瞬で気がついた。

今なら、思いっきり戦える。

『…卍解…っ!!“観音開…捩花結ビ”!!!!』

「!?ば、卍解って…ええ!?蝶さん、貴女の卍解はさっきのじゃ…」

捩摺と紅姫の刀身がどちらも消えて、一本のトライデントになる。
柄には実態がある…が、しかし、その刃は、紅く光る血の滴る水。

『これが、“私の”卍解ですよ。紅姫は喜助さんのもの…捩摺は……“捩花”は、澪の師匠のものですから』

私の斬魄刀として顕現する捩摺ではあるが、その実態は、とうの昔に海燕さんと共に消えてしまうはずだった捩花のそれそのものだった。

しかし、まだ海燕さんの生きているその時点で、私はあろう事か、自身の能力で自分の斬魄刀の器を創り出してしまっていたのだ。
そこに適合したのが、今は亡き海燕さんの魂…捩花。

屈服させてしまったのだ。
そして、私の魂も“そう”だった。

どういう事なのか、分かるだろうか。

「…姫ちゃん、その話…ボクにしてくれてた卍解?……よく、頑張ったじゃない」

『!…置いてった人は黙ってて下さいっ、火遊紅姫!!』

「あっっつ!!!!?」

「浦原さんんん!!?」

海燕さんが、亡くなる際に思い出した事実。
私の斬魄刀でその身体を貫いたことによって、彼の魂の一部が伝えてくれたのだ。



志波海燕…彼は生前、私と血の繋がった、歳の離れた兄妹であったのだと。
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