第27章 飢えて枯れてなくなった
「ちっ、厄介な水だ…!お前、いったい何者だ!!?」
「姫に仕えるナイトってとこさ…水が弱点なんだってなぁ、その身体は」
「零は水にトラウマがあったんじゃあないのか!!?だから触手にまで影響が「確かにあいつは水が怖いさ…いや、怖かった」!!何!?」
捩摺から少し視線を感じてそちらに目をやると、ふっと微笑んで、彼はまた柳沢に攻撃を続けていく。
「勘違いするな、本来、水はあいつの大好きな……大好きな存在なんだから」
『…、海燕さん、みたい』
「!…あいつが聞いたら喜びそうじゃねえの」
『………中也、のこと…思い出した。トウェインさんのことも…、思い出した…ッ』
恐ろしい記憶と一緒に、全部。
思い出せなかったんじゃない、思い出したくなかったんだ。
思い出すのが恐ろしかった。
溢れる涙を中也に拭われながら、それでもありがとう、と微笑まれる。
ああ、貴方のそんなにも満たされたような表情…私は、初めて見ることができた。
『幸せに、できた…?私…貴方のこと、勝手に延命させちゃった…』
「馬鹿、おかげさまだよ…じゃなけりゃ今、こうしてお前のとこにもいられやしなかった」
『…結局、私が幸せになっちゃった…へへ、』
「それこそ俺の幸せだよ…、さて、もうちょいその幸せ守るためにも、俺はあいつをぶっ飛ばさなきゃなんだが……どうにも一人じゃ決定打が与えられそうにない。手伝ってくれないか…蝶」
はい…っ、
潤む瞳から溢れるそれを拭って、満面の笑みで返事をした。
そして修復中だった核が完治し、しかしそこで、二代目の攻撃を凌いでいたはずの殺せんせーが地面に伏す。
「にゅ…っっ!!!!!」
「「殺せんせー!!!」」
『!…皆!!?』
攻撃方法を変えてきたのだ。
クラスの皆を標的にして、二代目がエネルギーを放ってくる。
それも凄まじいスピードで。
「…座標変更、任せていいか?」
『…勿論、任せて。それくらいできる……相手は二人だけなんだし』
「なら安心だ。……もしもの時は…“使っても”…?」
『!、……死んだら、…殺すからね…?』
「二回殺すなよ、どうせくたばってやらねえし…色々と任せたぞ、あと一応、太宰だけこっちによこしとけ」
『はい…、じゃあまた後で』
「おう、また後で」
互いの手を叩いてパン!と音を鳴らしてから、私はみんなの元へと移動した。
