第27章 飢えて枯れてなくなった
そしてそこで瀕死の状態だった彼を見つけ、助けようとした。
しかし、そこで思い出す。
ああ、霊力がほとんど尽きてる…多分これで、私はもう…
しかし、目の前の少年は、まだ何かに追われているようだった。
座り込んでいるところで、刺されたような傷に手を当てている。
『…怪我、してるの?』
「!誰…ッ、く…!!……!!?」
毒も回ってる…呼吸や脈が乱れてる。
今助ければ、生き延びられるかもしれない。
私と違って、この子には一度しかない人生だもの…いいじゃない、これで死ねたとしたら、私だってもう楽になれる。
最期くらい、誰かのためになれたなら。
なんて考えていたその時、少年はぽつりと声にした。
「……きれい、だ…」
『…え、……?』
初めて目を合わせたその子の瞳は、元の私の身体と同じ色。
しかし、少年は私をまっすぐ見据えて、また言った。
「…きれいだ」
『…』
不覚にも、そんなそれっぽっちの一言に、私の心は救われた。
嬉しかった…心底、死ぬほど、嬉しかった。
誰かにそんなことを言われたのなんて、もういつぶりの事だっただろう。
この世界に、こんな人がいただなんて…こんな子がいただなんて。
この世界に来て初めて、私はたった一人の少年の言葉に救われたのだ。
それからは何も言わず、彼の傷を開腹術で治してその場から能力で立ち去った。
そしてそこで、核が限界を迎えて動けなくなり…気がついた時には、水槽の中へ閉じ込められていた。
「…全く…とんでもないことをしてくれた」
やれ、と言った柳沢の声に合わせて注入される毒。
それによって凝固する私の血。
しかし、殺しきってはくれない。
死にそうなギリギリのところで、身体を痛めつけ、苦しめて…
ああそうだ、脱走したから水槽の中に閉じ込められるようになったんだ。
逃げ出したから、催淫効果のある毒を用いて、辱められたりしてたんだ。
散々にまで敏感にさせられて、痛覚を張り巡らせた神経を剥き出しにされたような身体を…____
『……、ぁ…ちゅう、やさ…』
気付いた時には、捩摺や殺せんせーが柳沢、二代目と応戦していて、私の体は中也の両腕に抱きしめられていた。
『…ごめんなさ…、わ、たし……戦闘中、に…』
「いい……お前は何も、悪くない。どこもおかしくない…きれいなままだ」
ああ、貴方はまたそうやって…
