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第27章 飢えて枯れてなくなった


首領に許可も取らずに、バイクを走らせ、異能も蝶の能力も使って、馬鹿みたいな速さで校舎に乗り込んだ。

周りにいた特殊部隊を力でねじ伏せて、ようやくたどり着いたその先に…蝶の姿は、見当たらなくて。

急いで駆けつけてきた烏間さんに、クラスの奴らを保護しているというテントへ案内される。
しかし、やはりそこにも蝶の姿は無い。

それだけを確認して、烏間さんに向けて話を切り出した。

「烏間さん、あんた…柳沢の研究所のありかは、知らないか」

「…俺の権限では、届かないレベルの機密情報だ」

「……そうか、それならあんたに変な協力は頼まずに済みそうだ…悪かったな騒がせて。後はこっちでなんとかするわ」

生徒達も何かを察してか、何も聞いてはこなかった。
大丈夫、探偵社にはあの名探偵も、太宰だっている。

そして何より浦原さんだって。
蝶の身体が生気を取り戻していたのならば、あの人の卍解でなんとか蝶のもとまでたどり着けるだろう。

…俺じゃあ、何もしてやれねぇ。

外に出て、光の檻で囲まれた校舎を横目に、そこを去った。
否、去ろうと…した。

『……、ゃ…さ、…っ』

「…ち、……よ…?」

微かに聞こえた声に振り向く。
傷は一つだってついちゃいないのに、えらく衰弱しきった様子で…しかし、血が肌に何ヶ所もついていて。

「おま…っ、首輪が着いてないうちにこっちに来い!!そしたら俺が連れてってやれるから!!!」

『だ、「ダメだよなァ?御主人様から逃げ出しちゃ…」ヒ、っ…』

首元に手を回されて、喉を指で突かれ、背後の恐怖に怯えきって少女は言葉を失った。

「いいことを教えてやろう、中原中也…このモルモットは、逃げないんじゃない。逃げられないんだ…この檻の中において、こいつは力を発揮出来ん。あの標的が、壁に触れたらからだが溶けてしまうレベルだぞ……“純度百パーセントのオリジナル”に、まともに耐えられる環境なわけがないだろう!!!」

「手前…っ、こんな檻なら俺が「いいのか?こいつの命は俺が握っているというのに…それとも、死んだところでまた再生するなら一度くらい構わんか?」あああ!!!?」

「下手なことをしないことだな、中原中也。何、安心しろ…今すぐ殺したりなんかしないさ。俺はお前のその顔が絶望にまみれるのが見たいんだ……どの道こいつは、俺の元へ戻る道を選ぶ事になる」
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