第27章 飢えて枯れてなくなった
「…!!!!!…おい、浦原!!今すぐ卍解してでも姫をここに____」
「!捩摺さん!!?」
「…、は…、?な、にが…」
蝶が移動してからほんの数分。
狙撃の訓練と言っていたために、一応ポートマフィアの方へ滞在しているのか確認すべく、立原に連絡を取ろうとしたその時だった、何かを察知したような素振りを見せた捩摺が、霊子となって消えていった。
本体は蝶が持って出て行ったはず…だが、斬魄刀自身の意思で具象化していた体が意に反して消えてしまうなど、ありえるわけがない。
ましてや主はあの蝶だ、なんだかんだ言っても、捩摺の自由を奪ったりするような奴じゃない。
「…!う、浦原さん、蝶は!!?」
「!そうだ、さっき卍解って…、……啼け、紅姫!!!…ッ、…嘘でしょ姫…何が…!?」
始解…それも第二の解号。
それすら、発動しない。
「そ、れ…いったい何が起こって…?」
「……斬魄刀から、生気がほぼ感じられない…瀕死、です。ボクの方に意識が伝わってこない…!」
瀕死。
そう、確かにこの人は言ってきた。
「…中也さん、姫ちゃんの行き先に心当たり、は……っ」
「瀕死、って…蝶が…、?は、…今の今まで、そこで馬鹿みたいな量のケーキ食ってたんだぞ…?」
「中也さん!!!!」
浦原さんの声で、意識を戻す。
それから相手の目を見て、狼狽えている場合ではないと再認識した。
「……知ってるところに一斉に連絡を回す!!平子達にも手伝いを要請したい!!!」
「!…了解っス!あっちは任せてください…こっちの人達は、任せます」
「ありがとう…!」
弱気になっている場合じゃ、ない。
蝶が瀕死…ならば、それは俺がそこに行かなければ。
手遅れになってしまっていたとしても、あいつがまた独りにならないようにって、誓ったんだから。
また、蝶と一緒にいるんだって、誓ったのだから。
一斉送信したメッセージに、いち早く電話がかかってくる。
相手は、太宰治。
「太宰か!何か情報が!!?」
「蝶ちゃんの居場所を、乱歩さんが!…ただ、そこには今、いくら君と言えども入れな「いいから教えろ!!!」…っ、椚ヶ丘中学校旧校舎……、なんだが、今は中に誰も入れない!!!」
「!?なんでだよ!!!」
「“国”が動き始めた…!!…っ、今、我々も社長の判断を待っているところだ」