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第27章 飢えて枯れてなくなった


目を覚ます。
見覚えのありすぎるシャツを着ていることを確認する。

のだが、それよりも先に降り注ぐ…否、正確には降り注ぎ続けていたらしい、唇へのキスの嵐。

『…、ッ…ン…ぅ…ンン、っ』

「…、っ!……起きた、?」

『ッは、…ッ♡…ぁ…お、きま…した』

「そうか…おはよ。……あと、ごっそーさん」

『……何時間してたの?ちゃんと寝た?』

「二時間くらい寝たらキスしたくなって目ぇ覚めた。だからそろそろ二時間半くらい」

『嘘つかないで…、…い、まからだ、こんな敏感になっ…て…るん、だから…!』

彼に手を取って指を絡められるだけでもかなりくる。
これは相当なレベルなはずだ…まあ中也からの口付けを受けていてこうなるのは珍しい話ではないのだが、私は今回寝ていたはずであるし。

「…四時間弱」

『よく飽きないですねそれ…?』

「飽きるかどうかじゃねぇんだよ、溜まってんだからこっちは」

『!!!…、そ、それはその…っ、あ、し、しましょうか……?』

「は?何言っ…て、……!!!!!?違ぇよ!!?そういうあれじゃなくて、お前に与えきれねぇぶんの愛が溢れ出てるってだけのあれなんだよ!!!!」

勢いで丸々言い切ってしまうものだから、最早清々しさを感じるほど。
それから少しの間をあけてようやく顔に熱が集まり始める。

『…ぁ、あ……ぅ…っ』

「ああ!?…ってお前、泣い…!!!?」

『た、たたた足りてない、なら…その…っ』

「朝っぱらからするわけねぇだろ、お前んなことしてたら学校行ってからまともな生活出来なくなるじゃねえかバカ!!?」

『!…言い直し』

「…言い直しって、いきなりまた何をお前は『言、い、な、お、し』……」

つぅ、と冷や汗を流す中也に、頬を軽く膨らませる。

「…蝶、さん?…なんでそんなむくれてんだよ、可愛いけど」

『……へえ、意識がないうちに襲ってたくせしてそんなのでいいと思ってるんだ』

「よぉし蝶ちゃんおはよう、今日もいい天気だ。今日はなんと俺特製のチョコレートケーキが用意してあるんだぞ、なんと蝶ちゃんのために三ホール」

『!!!中也さんのチョコレートケーキ!!♡』

「そうだよ、俺ってケーキに負ける男だよ…」

中也の嘆きは聞かずにガバッとからだを起こして目を輝かせる。
すると彼はふ、と笑って、また私の頭を撫でたのだった。
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