第27章 飢えて枯れてなくなった
愛というものは、実に厄介なものである。
感情の域にとどまらず、かといって目に見えるようなものでも、他と比べたり測ったりできるものでもない。
だからこそ、重たく、苦しいほどにそれで縛られていなければ、私のような臆病者には怖くて怖くてたまらない時があるのだ。
『…ッ、は……っぅ…♡』
「震えてる…怖いか?」
『ち、が…ッ♡』
怖い。
怖いに決まってる。
彼と肌を重ねる度、頭がおかしくなってばかり。
おかげで何も考えずにいられたはずだったのに、この男…中原中也は、私に衝撃的な事実を打ち明けてくれてしまった。
私の就寝中に口付けなどの行為に至ってしまうまでに、私へ愛情を注ぎ足りないのだと。
そんな話、聞いたことがない。
しかし、現に今日…私の意識のないうちに理性を飛ばされており、仕上げられてしまっていた上に、今回に限っては犯されていたに等しいもの。
それは、“蝶”が相手だったから。
そうだったはずなのに。
今までにこんな風にされたこと、誰にも、ただの一度だって無かったのに。
向かい合わせになって抱きつかされ、そのまま彼の膝の上に座らされ、所謂対面座位という体位で、また愛撫を重ねられていた。
そんな中、彼は散々にまで私のからだを知り尽くしているその指で、ナカをゆっくりと出入りさせる。
入ってくる圧迫感に息を止め、一本入りきったのに安堵してナカ全体でその指を感じ取れば、ゆっくりとまた引き抜かれていく。
それにたまらなくゾクゾクして、声がおさえられないのだ。
「じゃあどうしたんだよ…気持ちいいとこはまだ触ってやってないだろ?」
『き、きもち…ッヒ、…っ!♡…あ、あっ…抜いちゃやぁ…ッ♡』
「へえ、いれてて欲しいんだ?エロいなぁ蝶ちゃん…そんなに美味しいの?俺の指」
『まってぇ…っ、抜いちゃ、あ…ッ…こ、わ…!』
「…聞きたいことがありそうだな」
引き抜くのをやめ、奥までまた咥えさせてから彼は指を止める。
『ひ、ぁ…♡…、……っ、ち、中也さんは…蝶と、姫と…どっちが好き、…?♡』
「蝶が好き。愛してる」
まさかの即答にナカがキュン、としまる。
『な、…ぁ、じゃ、あ妾は別にい「だって、紅姫の中に蝶はいないだろ?…俺は“お前”のことを愛してるんだ」!!…ッ、また、そ…なこと…っ』
涙まで、全部食べちゃう変な人…