第27章 飢えて枯れてなくなった
結局あれからというもの、本人の言った通りゆったりと行為を終え、蝶が寝付いてからしばらくまた彼女の唇を堪能し、可愛がってから眠りについた。
それ以来というもの、蝶から向けられる視線で少し分かるようになったことがある。
例えば、ある朝。
「蝶…今日学校だろ?行かねぇと担任が泣くんじゃねえの?」
『……キス、足りない』
「それは俺もだけど」
『……』
甘えたモードに入っていると、決まって少し不服そうな顔をする時がある。
そういう時は、甘やかして甘やかして甘やかし倒してほしいように見受けられる。
だから、試しに彼女のねだったように呼び方を変えてみれば、
「そんなにまだしときたいの?蝶ちゃん」
『!!…、はい…』
「…遅刻しねえ時間までだぞ」
言葉通り、従順になってしまう。
これがまたたまらなく可愛い、悶え殺されそうなレベルで。
俺からしてみれば願ったり叶ったりなわけなのだが、いいのかこれで。
こんなド変態にいいようにされにいってるのはいいのか、これは。
いやよくねえだろ。
平子は比較的会いにくいが、浦原さんなんか頻繁にこっちに来てるってのに。
「姫ちゃん、ボクも蝶ちゃんて呼びたい」
『貴様はダメじゃ、二百年は許さぬ』
「…蝶、もう少し優しさ分けてやってもいいんじゃねえか?」
俺から。
『!!?だ、だめ!!すぐに調子に乗るの!そのくせ今はしおらしいけど、どうせすぐ別の女の子見つけて回復してるんだから!』
おい、見破られてんぞエロ店主め。
「や、やだなあ!?姫ちゃん以外の子になんて興味な「嘘はよくないと思うぞ…」…」
『そういうところが格の差よのう』
「姫、今外なのに髪戻りかけてるけどいいのか?」
『!ち、ちちち中也さんが蝶って…よ、よよよ呼び捨てにしちゃうから…♡』
いつもしてたはずなんだが。
真っ赤な顔してえらい恥ずかしがりようだ、本当に好きなんだなその名前。
「じゃあ常時蝶ちゃんがいいのかよ?」
『し、死んじゃう…っ』
「お前なんの病気だよそれ…」
『…恋煩い…?』
「それなら仕方ないな。でも俺も蝶って呼んでやりたいか慣れ直してくれ」
差し出すケーキをぱく、と食べて、一つ頷いたその少女。
「……蝶、ってボクも呼んでみ『黙れ、串刺しにするぞ』扱いの差!!!」
「日頃の行いってやつだなやっぱり」