第27章 飢えて枯れてなくなった
酔っている時が、喜ぶのも嫌がるのも怖がるのも、一番素直な時。
最初、意識を取り戻してからは間違いなく泣かれたり嫌がられたりするのを覚悟していたのに…それすらもなく受け入れられ、本番までに至って、正直なところかなり戸惑っている。
『やらしい、とこ…?』
「…夏頃から、また発育進んでるだろ?……寝てる間、たまに触ってる」
『へ、…触っ…?……ど、うして…??』
流石に困惑させたか。
しかしどうにも冷静だな…怖がりもしないだなんて。
「…起きてる時のお前の恥ずかしがってる可愛い顔が見たくて。足りないとか、そういう行為に満足していないとかじゃない…ただ、可愛いお前が見たくて、そんなお前に触れていたいだけ」
素直な気持ちを、そのまま吐く。
蝶だって素直になっているんだ…ここまで無茶をさせたんだ。
言うべきだろ、いい加減。
『……それ、は…ちょっと…』
「……大丈夫だ、言ったらそうなる覚悟はしてた。ただ、言わないとってずっと思っ『ちがくて、…』…?」
『…あの、…いつも、ちゅうやさんはちよのためにばっかりだから、ね…?……安心、したの』
今度は、こちらが目を見開く番だった。
どういう事だ、安心したって…自分の生活が脅かされてるどころか、合意も無しにそんなことをしていたというのに、何を言っているんだこの女は。
「安心って…俺はいつもお前を可愛がりたいからそうしてるだけで…」
『ちよが怖がるようなこととか、そういう考えが過ぎっただけでもやめちゃうでしょう?我慢しちゃうでしょう??…だからね、ちよが寝てる間にちゃんとわがまま叶えててくれて、安心した』
「…唇へのキスや、度の過ぎた接触は今年から、だが…ほかの箇所に口付けたり、印をつけたり…お前が慣れていないうちからだきしめたり。ずっと、してたんだぞ…?八年も、騙してたんだぞ…!?」
『ん、嬉しい…八年もずっと、ちよのこと、寝てる間も護っててくれてたんだね。…愛してくれてた。ありがとう』
驚愕しすぎて、開いた口が塞がらない。
なんなんだ、俺の行為自体がもう、頭のネジが無いような人間がするような…イカれた行為なはずなのに。
なのに、どうしてそんなにも幸せそうな顔を浮かべるんだ、お前は。
『…蝶が怖い夢見なかったのも、寝るのが怖くなかったのも、全部全部中也さんのおかげだよ』
「!!!…お前、滑舌……」