第27章 飢えて枯れてなくなった
蝶がキスをするのがそんなにも好きな理由?
本人の感覚に合ってしまっているからだろう。
どうして深い方よりも、触れるだけのものの方がしっくりくるか。
簡単だ、本人の知らないところで死ぬほど身体に感覚を刻み込まれているから。
年齢の割に合わないほど発育の良すぎる胸部。
…それは流石に天然物だ。
途中まではな。
別に大きい方が好きなわけでも、大きければ好きなわけでもないのだが。
初めて媚薬を盛られた一件以来、少しずつ触れ始めたそこ。
だから、この一年でも更に成長しているはずだ。
衣服の上から、その膨らみに片手で触れる。
『…、……』
「……またデカくなったんじゃねえの?お前」
どうしてこんなことを?
決まっている、それはただ、この少女を恥ずかしがらせたいがため。
本人のコンプレックスを更に深刻化させていたのは、紛れもないこの俺自身のせいでもある。
…その胸を余すとこなく俺に見られ、触れられ、味わわれる瞬間の蝶の瞳は、他の何にも変え難いほどに恥辱の色を示すのだ。
なのに、抵抗しない。
理由は簡単、相手が俺だから。
信用しきってんじゃねえっつの。
『…、ぁ…ん』
「…ン、……、は…」
直で触れれば感じさせすぎてしまうから、優しく、いつもより更に丁寧に。
撫でられるのに弱い?
キスに弱い?
そんなもの、とっくの昔から知ってるさ。
俺はお前に愛を注ぐのが大好きなんだ。
だから、処理をさせたいと思ったことも、そういう形の趣向を持つことだって無かった。
しかし、お前が望む限り、それを受け入れるのだって愛だろう?
たまにそうしてもらえるかと頼んだ時、お前はいつだって、うっとりとした目で、従順にはいと頷くんだ。
…それなら、その身体ん中にまで。
俺を刻みつけて、刻み込んで…全てを俺でいっぱいに満たしてしまったら。
お前を満たすことができるのかは分からない。
しかし、俺はまだまだ注ぎ足りない…注ぎ足りるということがない。
俺は頭のおかしな人間なのだろうか。
本当にそうか?
愛しい女というのは、どれだけ愛を注いでも注ぎ足りないものだ。
それのどこを蝶や他の誰もがおかしいと感じるのか、俺には理解が及ばない。
しかし、俺は確かにお前におかしくされてしまったのだろう。
俺は、間違いなく世界で一番の、お前にとっての変態だから。
…心地いい響きだ。