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第27章 飢えて枯れてなくなった


「それで?誰だこいつに酒盛ったの」

時間が経つうち、いつの間にか手元の少女の異変に気がついた。
というのも、様子がおかしいというか…蝶“さん”が現れたからなのだが。

「誰も盛ってないどころか、流石に冷蔵庫に仕舞うようにしてるさ。皆学習したからね」

言ってのける名探偵。
だが、現にアルコールが入ったという証拠はそこにある。

『ちゅうやさぁん…服やら、あつい』

「その格好してる蝶のこと見せてくれねえの?」

『ぁ…、見せたげる。えへへ』

先程から危ういギリギリのところで、上手くこうしてなだめてばかり。
流石に他の目があるところでは拙い。
一刻も早く連れて帰るべき…なのだろうが、一応蝶のためにと開かれた催しだ。

「なんや澪、お前そんなに中也に甘えるんかいな…俺の方に来てもええんやで」

『…今はちよなのよ?しんじ』

「…蝶さん、平子さん固まっちゃいましたけど」

『貴様がその名を呼ぶでない』

「ごめんなさい澪ちゃん」

『妾の名も呼べぬ主などいらぬからの…貴様は今しばらく蝶呼びは禁止じゃ』

「な、なんや態度おかしないか…?」

…やはり酔っている。
じゃなけりゃ、何も無いのにこんなに素直になりきりすぎるだなんてことがあるわけがない。

平子の目の前なのに本性晒しかけてるし。

「んじゃ、なんでこいつがこんなことになってんだよ」

「……どうせ洋酒付けの果物にでもやられたんじゃねーの」

ふと響いた声。
それは、蝶の斬魄刀である捩摺からの意見。

「んなもんあったか?今回」

「フルーツポンチと間違ってマチェドニアでも食っちまったんだろ」

「「「…」」」

見境なくデザートを食べ尽くす蝶に想像がつきすぎて、誰も反論出来なかった。
名探偵は分かっていたというような表情をしてはいるが、しかしそれならば確かにありえそうだ。

「…蝶、さっき何食べた?フルーツ食べたのか?」

『?うん、りんごが美味しかった!』

「りんご使ってるのそれしかねえし確定じゃねえか…なんでそれ食べたんだ?フルーツポンチだと思ったのか?」

『敦くんが持ってきてくれたから』

その刹那に人虎の方に目を向ければ、冷や汗を大量に流しながら何かを目で訴えてくる。

そしてその視線が指す方を見れば、一瞬にして犯人が判明した。

「思ったより早くバレちゃった?」

「手前マジでこの糞鯖が…!」
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