第27章 飢えて枯れてなくなった

｢ちょっと離れとるうちに…っ、おい澪！？お前こんな変態のどこがそんなに好きやねん！！？｣

『全部』

｢だとよ。その変態加減も含めて大好きらしいぜ？｣

『いつまで経っても手も出してこないようなチキンよりよっぽど好きね』

｢お、前…それまさか俺に向かって言うてるんちゃうやろな…っ｣

残念真子君、半分程しか正解じゃない。

『五十点。残念ながらあんただけじゃないのよ』

｢は？お前、そんな奴が他にどこ…に、…｣

あの真子が引くレベルでフリーズする。
そう、何を隠そう、それに該当していた人物が今まさに目の前にいるのだから。

｢…チキンですんませんでした｣

｢……中也、？…あんさん…えっ、チキンて……｣

｢ああ、そういや確かに最近だよねー、ここまでスキンシップ増えたのも｣

｢最初なんか酷かったよな、見てて蝶が可哀想だし焦れってぇし…両想いなの誰が見たって分かってんだからとっととしろってイライラしたわ俺らも｣

うんうん、と私共々納得するクラスの面々。
沈みきった中也に向けて、主に中村ちゃんと前原君が責めていく。

｢…俺だって緊張すんだよ、普通だろ手前ら……だって相手こいつだぞ、当たり前だろ悪いかこら｣

『せめてこっち見て言ってくださいよ、戻ってますから』

｢……なんでお前そんなに順応すんだよまじで…ちょっとぐらい嫌がれよ…なんで喜んで何でも言う事聞く挙句にもっと要求してくんだよ！？Ｓだろ実は！！？｣

｢｢｢主導権はそっちだったんだ…｣｣｣

『主導権？？』

｢惚れたもんは仕方ねぇだろ手前！！？いいからもう黙ってこっち戻ってこいや！！？｣

逆切れしたような勢いで私の方にばっと振り向いた中也に、今の私の肩に触れる真子の手に気がついた。

それに少しキュンとして、緩む頬に口角が上がる。

『……戻ってほしい？』

｢来ねぇなら来させんぞお前｣

『どの道じゃないですか…』

妬くならもっと見せてくれてもいいのに…ほんとに今日は手加減するんだ。
見せてもらえるだけでこんなにも満たされるだなんて思わなかったけれど、安心する。

中也の方へと戻れば強制的に膝の上に座らされ、いつかのようにあれやこれやと次々にデザートを食べさせられる。
なんだかいつにも増して甘やかされているような気がするものの、嫌ではないので照れくさいのを隠してそれを甘んじることにした。