第27章 飢えて枯れてなくなった
勇音さんは尸魂界へと帰還し、それについて詳しい証人として真子も行くことに。
日の沈みかけている空は、いつかの夕焼けのようだった。
穿界門に入った勇音さんに続いて、真子までもが背を向ける。
そこに何を見たのだろう…綺麗なそいつの、長かった髪でも思い出したのだろうか。
伸ばしかけた腕を止め、ああ、ダメじゃないかと言い聞かせる。
「…ほな、俺もちょっと行ってくるわ。とっとと体調元に戻せよ?じゃあな」
嫌いだ、こんな言葉。
じゃあなとか、あんたに言われるのが一番腹が立つ。
…なんで背中向けて言うの、そんなこと。
なんてことのない会話なはずが、私の嫌な記憶といくつも結びついていく。
「……だあああっ、もう!!そんなしんみりするなら引き止めろや、アホかお前は!!?」
『!!?…、っな…、?』
勢いよく、しびれを切らしたかのようにこちらに振り向く真子。
それに呆然として、伸ばしかけていた手を瞬発的に引っ込めた。
「さんっざん人のことええように扱ってくれてて結局寂しいんかい!?なんやそのデレ、日頃からもうちょい俺にも発揮しろやこのツンデレ!!!」
『い、意味わかんな…っ、あ、あああんたなんかが尸魂界に行くくらいでなんで私が寂しがらなきゃならな「ごめんな」…い、…は…、?…え??』
「改めて詫びや。…お前だけ置いてってしもたから」
そうだ、私はこいつに影響されて、仲間とか…友達とか、そういうものを意識するようになっていった。
…そしてその仲間は、皆死んだと伝えられた。
私にそう告げられ、言及すれば、真子を筆頭にした小隊は全滅…更にはその犯人の名が浦原喜助であったのだと。
しかし、私はそれを信じなかった。
喜助さんがついていたのなら、恐らくそれは殺すためじゃなく助けるためであったはずだ。
それなら、絶対に生きている…どこかで、ちゃんと。
『…詫びるくらいなら、結界なんて張らなければよかったじゃない。……楽しかった?私から解放されて』
「憎まれ口叩く癖もやめ、強がらんでええから。…ごめんな、今まで気付いてやれんくて」
お前が優しいのに、みんなで甘えさせてもろとったんや。
真子はそう言って私の頭を撫で、そのまま穿界門へとまた踏み出す。
『!!ッ、か、帰らなかったら殺しに行くから…っ』
「…怖いことばっか言うなやアホ。心配せんでも帰ったるさかい」