第27章 飢えて枯れてなくなった
また助けられた。
意識が戻ってきて最初に思ったのはそれだけ。
まただ、また私は生かされた。
どうせ放っておいても死ねないのに。
どうせまた死ねないのに。
どうして私を楽にさせてくれないの…どうして私のために自分まで辛い思いをしようとするの。
馬鹿だ、みんな馬鹿だ。
ほっといたらなんとかなるのに。
誰かが頑張らなくたって、私は死ねな____
うっすらと開いた目で見たのは、黒い髪に、私にはよく分からないチャームポイントの少し長めの下睫毛。
海や蒼色の似合うその表情は、私を照らしてくれる太陽だった。
左腕をのばして、頬に触れる。
暖かい。
震えにくい喉を微かに振動させて、私はただ一つ、啼いたのだ。
『か、ぃ…ぇん…さん、……?』
「…」
その人は大きな手で私の頭を撫でて、微笑んだ。
…なんでそんなに寂しそうなの?
そんなに寂しいなら、私も連れてって…そうしてくれたら、私は…____
「蝶!!!!」
『…ッ、?…ぁ……、れ…中也さん…』
「…、よかった……身体は?寒くないか…?」
『……な、んで……助けた、の…?』
いつかの日にも言ったような気がする。
私は何度も思う、思ってしまう。
だって私には分からない、死んだ方が楽じゃない。
いつだって、残された方が辛いのに。
…皆どうせ、楽になれるのに。
「……澪さん、具合はいかがです?少し急いで霊力を増幅させているんですが…身体の感覚でもなんでも、感じたことがあったら教えて下さい」
『!…、勇音さん、だ……、隊長さんだね…なんか照れちゃうな…』
「そ、そうですか?まだまだ卯ノ花前隊長には全然敵いませんが…手足、痺れたりしてません?動かしても平気ですか?」
『…ん、全然平……、?…捩摺、は…___』
寝台のすぐ横の棚に置かれた私の斬魄刀。
まるで何かに取り憑かれたかのようにして上体を起こし、それを手に取ろうと腕を伸ばす。
「!?澪さん!!?まだそんな急に動いちゃダ『…ッ、れ…?何か…?』…、?どうし…!!」
身体がそれ以上前に進まない。
何かに引っ張られてるような…
伸ばした腕の反対側を見ると、私の手が誰かのそれに繋がれていた。
その人のその指にはよく知った指輪がついていて…
ああ、違う。
「……よぉ、シカトとはいい度胸だな」
____引っ張っていたのは私の方だ。