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第27章 飢えて枯れてなくなった


「平子さんは霊力補給用具を一式、浦原商店から取ってきてください!場所は店のものに聞けばわかります!」

「了解、他は何がいる!?」

「可能であれば、虎徹隊長を!!」

浦原さんと平子の瞬歩で校舎まで先に連れられ、寝台に蝶を寝かせてそれぞれ準備にとりかかる。

「恐らく酷い霊力の欠乏が影響して、また血が消費されてる…中原さん、貴方の血液、今この子に飲ませることは可能ですか」

「意識さえあってくれればよかったんだが…抜くしかなくねぇか」

「…結構な量です、そうするにしても少しつなぎ止めるくらいに留めておいて、後は意識が戻ってからにしましょうか。輸血の処置ができる人は?」

「……恐らく蝶の担任なら」

「それは助かります」

用具の準備にとりかかれば担任が先に戻ってきて、それを手伝う。
医療の知識はやはりあるらしく、協力してくれるそう。

「捩摺さん、この斬魄刀…元に戻せますか?多分、この子は今貴方を…」

「…分かってる、命にゃ変えられねぇよ…少しキツいが一度絶ってくる」

「すみません、あとでデザート奢ります」

「マジか!!!頼んだ!!!!」

蝶の槍が蒼い光を帯び、それからどんどん気化するように形が失われていく。
そして最終的にはただの刀の形に戻り、蝶の手からは抜けていた。

「…、あー…これで起きた時に泣きつかれんのはお前の仕事だからな?頼むぞ?本当」

「俺…?どういうことだよ」

「普通、斬魄刀ってもんは持ち主の霊力に依存してるもんだから…主の霊力が持たなくなれば、解放状態を維持出来ずにただの刀に戻るはずなんだ」

蝶の隣に横になろうとすれば、捩摺はどういうことかわかるか、と俺に問う。

…分からない、蝶は霊力が足りていないと言って……つまりは解放状態なんか維持できるはずがないのでは…?

「霊力の代わりに血液使って、無意識に俺の状態を維持し続けてたんだよ…あんな高等鬼道を完全詠唱でぶっぱなして、挙句何枚壁まで張ってたことか」

「無意識?…よくあったのか、こういうこと」

「……まあ、一人んなってからな」

「…」

あくまでも俺は澪の魂の一部であって、良くも悪くも他人ではない。

だからこそこうやって実体化までしてないと、こいつが心配で心配でならないんだよ…よくもまぁ“こんな精神で”まともに人間やってられるぜ。

捩摺の言葉が頭から離れなかった。
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