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第26章 帰郷


「……、…俺は殺されても折れねえぞ。…知ってんだろ」

『…ッ、何!?それなら死んでも満足だっていうの!?死んだところで私が約束を守る保証がどこにあるのよ…ッ、そんなもの破るに決まってるでしょ!!?』

「守るさ…どうしてか当ててやる。お前のそのお願いとやらは、第一に俺が生きてなくちゃ意味を成さないお願いだからだ」

「「「『!!!!!』」」」

違うか…?
なんて、フラフラなくせして真っ直ぐ見つめてくるその瞳に何も言えなくなる。

どうして、そんな風に言いきれる…こんなに酷い目に遭わされてるくせに。
こんなに傷つけられてるくせに。

『…どうしてそう言いきれるの?貴方とは関係ないって言ったはずよ』

「……分かる。…お前が俺にここまでして譲らねえのなんて、俺のために何か必死にしようとしてくれてるときくらいだろ?」

『!!!…、私は私のためにやってるの!!自分のためにしてる…自分のためだけにしてる!!』

どうして、ここまで私を信用するんだ。
自分が下手したら、最初からとっくに殺されていたかもしれないのに?

とっくに戦闘不能にだってされているかもしれないのに?

『貴方の対処できないような術まで使って、こんなに姑息な戦い方をしてるのに…っ、なんでそんなに私のことが信じられるのよ!!!!』

心からの声だった。

ただただ理解が及ばなかった。
何故なのか、分からなかった。

精一杯に叫んで、途切れる呼吸を肩でしながら返答を待つ。
しかし彼は、そんな私にひどく優しく微笑んで、私の頬に震える手を添えて言い放った。

「…怖がんな…何言ったって、戦ってる時のお前は綺麗なもんだよ」

『ッッ、!!!!?』

思わず身体を跳ねさせる。
突然何を言い始めるんだこの人は…私が怖がってるだなんて、そんなはずない。

私は散々に痛めつけて、散々に傷つけて…

「……俺を殺すつもりならとっくにそうしてるだろ。…異能力も取り上げない、仕込んでる武器も取り上げない…そしてお前は自分の能力で俺の心臓や呼吸を操作すらしない。…斬魄刀も、まともに使ってこない」

『…それが何。警戒して様子見してただけじゃない』

「警戒?んな事しなくたって呼吸は止められる…酸素も奪える、水分だって取れる」

ガタガタと、小さく腕が震え始める。
どうして?どうしてそんなこと…
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