第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
「君達二人がこんな事、今までなかったのにどうして」
「殺せんせーは、白石の事知ってたのか?俺達、さっき教室であいつが責められてた時に、味方になれるだけの勇気も自信もなくて…それを謝りたくて外に出たんだ」
前原君が殺せんせーに必死に訳を説明する。
私の味方になれなかったからと彼は言った。
それはとても嬉しい事実だったのだが、それ以上に重大な問題が起こっている事になる。
「それで、さっきカルマが蝶ちゃんと話してて。そこで、蝶ちゃんが言ってくれるまで追求する気なんてなかったのに、全部聞いちゃって……動けなくなって」
私がカルマ君にした話を全て聞いていたらしく、二人は下を向いたまま体を微かに震わせている。
やはり、思わぬところで聞かれてしまっていたらしい。
頭の中がぐちゃぐちゃな状態で話をして、気配を察知しようとしなかった自分のミスだ。
「先生は、今の白石さんしか知りません。二人が何を聞いてしまってそんなに罪悪感を感じているのかは分かりませんが……」
『殺せんせー、いいです。今回の件については私に責任があるんで。』
どうせもう聞かれてしまったんだ。
どうにでも、なるようになってしまえばいい。
屋根から飛び降り、殺せんせーの隣に着地すると、三人とも目を見開いて私を見た。
「し、白石さん!?先生すっごい心配したんですからね!?」
『ごめんなさい。でも、流石にちょっと余裕がなくなってしまって…前原君と磯貝君と話したいので、授業中ですが外にいさせてもらってもいいですか?』
私が言えば、殺せんせーは仕方ないと言って校舎の方へと戻っていった。
本当は殺せんせーにも話といた方がいいかもしれないけど、やっぱりまだ怖いから。
『ごめんね、聞きたくもなかったでしょ、こんな話。もう全部聞かれちゃってたんなら、何でも答えるし説明するけど』
「た、確かに聞かない方がよかったかもだけど、白石は悪くねえよ!謝るな…寧ろ俺たちの方こそ、味方になってやれなくってごめん。何も知らなさすぎて庇えるのか自信もなくって、結局なんも言えなかった」
「それに話聞いちゃったのも本当にごめん!最初、カルマがここから突然消えて、何でか屋根の上から二人の声が聞こえてきたから…びっくりして、動けなかった」
二人共、それぞれちゃんと私と話をしてくれた。
私を軽蔑しないで、いてくれた。
