第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
『そういうもの?でも私、さっき思いっきり皆の事突き放して出てきちゃったよ?学校に初めてきた日みたいに』
「あんなの突き放した内に入んないよ。大体今回、蝶ちゃんはちゃんと言ってたじゃん、今はまだ言いたくないから聞かないでって」
カルマ君は、本当によく私の事を見ていてくれてる。
そしてつくづく、私に良くしてくれる人達は皆優しい。
『…いいのかな』
「人間誰しも秘密くらいあるって。あいつらだってそれは分かってるはずだよ?それに俺、今めちゃくちゃあいつらにムカついてっから、いくら蝶ちゃんが自分の事悪く見せようとしても無駄だからね」
表情や声色を聞いている限り、本当に彼は心の底から怒ってくれているんだということが痛い程に伝わってきた。
『そっか、ありがとう、私の友達第一号のカルマ君』
「あ、俺が最初だったの?嬉しいな、そう言ってもらえると。…大丈夫、俺は絶対に蝶ちゃんの味方だから。中也さんがいない椚ヶ丘で、蝶ちゃんを一人には絶対させないよ」
『うん、いつも感謝してます』
照れくさかったけど、ちゃんと伝えた。
伝える事が大切だってことは、ここ最近でよく思うようになった事だから。
「俺の方こそ。で、授業どうする?俺としてはこのままここでサボっといてもいいんだけどさ」
『あー…何ていうか、やっぱり帰りにくいというか。今日は皆と顔合わせるの…正直言ってすごく怖いから』
「……うん、じゃああと二時間サボっちゃおう!」
カルマ君もサボる気なのかと突っ込みたくなったが、そばにいてくれると心地よくなるのでそんな事も言えなくなる。
『言っとくけど、私は護衛任務する為に校舎のとこにいるんだからね?仕事だけ考えてればサボりとはちょっと違うから』
「分かってるよ、俺は俺の意思でサボってるだけだから」
『もう…』
ただでさえ整った顔立ちのカルマ君が無邪気に笑うのについつい見とれてしまって、それを隠してまた素直じゃなくなる。
でも本当に、感謝してる。ありがとう。
だが、ここで問題が発生する。
「こんなところにいたんですか、前原君に磯貝君!君達が授業をサボって外に出るだなんて、一体どういう事なんです!?」
殺せんせーが怒る声が、校舎の外から聞こえた。
『待って、今、前原君と磯貝君って…』
屋根から少し顔を覗かせれば、殺せんせーの言う通り、前原君と磯貝君がいた。
