
第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ

『ねえカルマ君、私が拉致されてからどんな生活してたかとか、聞いてもらっていい?』
「え、でもそれって、俺なんかが聞いちゃって大丈夫なの?」
『うん、烏間先生にはもう話してあるし、ちょっと頭冷やしたから話せるよ。カルマ君には言っておきたい』
普段はおちゃらけて飄々としている彼だけど、私が話を初めたら真剣な目をして聞いてくれる。
中也さんと出会った経緯や、出会う前と拉致されてからされていた人体実験。
そして拉致された時の状況と私の戸籍がなく、血縁者がこの世界のどこにもいないということや、自分の特殊な血液の性質で中也さんの血でしか輸血が出来ないことなど、思い付く限りの事を洗いざらい話した。
勿論、まだ自分の全てを話しきったわけではないし、人体実験の内容については数種類のものしか説明していないが、多分カルマ君なら話さなくてもいいよと言ってくれるから、罪悪感はない。
「成程ね……そりゃあ話せないわ、俺みたいな奴ならともかく、蝶ちゃんこんな小さな女の子だもん。話すのが怖いだなんて当たり前だし、中也さんのことをそれだけ信頼してるのも納得だよ」
『小さいは余計よ…私の事聞いたのに、それでも女の子って言ってくれるんだね。よく変わってるって言われない?』
「よく分かったね、言われるよ。でも、蝶ちゃんは普通の女の子だよ?苦しい時に泣いて、嬉しい時は笑って、怒りたくっても友達の前だからって我慢して、何にもおかしくないじゃん」
それでも彼は私を普通だと、言ってくれるのか。
『そうなのかな…なんかね、ちょっと考えだしたら、もう何にも分かんなくなっちゃうの。こないだもそれで馬鹿な事考えて、自分の記憶だって全部消そうとした』
「記憶を…!?」
『うん、能力を応用すれば出来るからさ。結局中也さんに見つかって止められて、もう忘れる事も怖くなっちゃったけど。』
覚えているのも怖くって、でも忘れるのはもっと恐ろしいだなんて…
『ほんと、笑えるくらいにどうしようもないんだよなあ。折角生きてきた中で初めて友達に囲まれてってしてたのにさ?私に友達が出来るだなんて、学校に行く事なんてなかったはずの私からしてみたら、奇跡なの。だから話せない自分が嫌になる』
「俺に話してくれたじゃん。仕方ないよ、事情が事情なんだからさ。話せる時まで皆には待っててもらえばいい。友達ってそういうもんだよ」
