第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
「関係なくもないでしょ、好きな相手にだったらなんでも話せるって事なんじゃないの?結局は」
違う、そうじゃない。
彼が救ってくれなくちゃ、私には生きる意味なんてなかったの。
恋愛感情としての好きなんて二の次でいい、そんなものとは比べ物にならないほどに、私は中也さんが好きなんだもの。
好きだったから話せた?
私は最初、彼には何も話していない。
私に何があったのかを知った上で私を救い、包み込んでくれたのがあの人なのに。
話さなくちゃ、いけないの?
烏間先生に話したのは、あの人がそれを聞いても変わらずいてくれると思えたから。
しかし、私の弱い部分に入り込んで来ようとする人達に話せる程、私は人間が出来ていない。
話したい、隠し事なんてしたくない。
だけど人から追求されると、頭がそれを拒否するの。
『中也さんは、関係ない…あの人が私を知っているのは、私が話したからなんかじゃない。私と一緒に見てきたから。一緒にいてくれたから、知ってるだけ。私は何も、話してない』
「そんなの、ずっと一緒にいたんなら分かってたって当然じゃねえか」
私の声は、届かない。
届けられるほど、強くない。
ずっと一緒にいたんなら…ずっと?ずっとですって?
それが引き金になってまた思い出した、暗い暗い海の中。
私が、中也さんとの幸せな思い出を消してまで消したかったあの記憶。
貴方達は、生き殺しにされ続けてきた私の何を見て当然だと言うの?
何を知ってて普通だと言うの?
中也さんが隣にいないままじゃ、まだまだ弱い私は、自分にさえ勝てそうにないよ。
『____ずっと一緒にいただなんて事、簡単に言わないで。私の前で、私やあの人の事を、知ったようにして言わないで……空気悪くしたみたいだし、席外す。カルマ君もごめん、ありがとうね』
「蝶ちゃん、待って!」
これ以上教室にいると自分が保てなくなりそうだったから、もう無理矢理外に出てしまうことにした。
カルマ君にも、いつも悪いことしてばっかりだ。
仕事で来ている以上、任務を放棄して帰ることなんて出来ないから帰るわけにもいかない。
そんな私は、誰の目にも映りたくなくて、屋根の上でいる事にする。
『……大丈夫、これからずっと、一緒にいるんだから。…………大丈夫、大丈夫だよ』
自分を慰めるように、大丈夫と声に出し続けた。
