第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
言った。
正直に、隠している事があると。
「どうやらカルマは何か知ってる風じゃねえか?そんなに俺達に知られたくない事があんのかよ」
確かにカルマ君は知ってる、私が武装探偵社の社員で元ポートマフィアの人間だっていうことを。
でも、それを全部説明する為には、どうしたってつきまとってくるのが人体実験の話。
カルマ君にだってそこは伏せているくらいだし、何より中也さんのいないところであの話をするのが怖い。
思い出して深く考えるだけで、自分で自分を殺したくなる。
一人じゃ、とても誰かに言えない。
『うん、カルマ君は、皆よりちょっとだけ私の事に詳しいよ。でも、皆にだけじゃなくってカルマ君に秘密にしてる事だって、勿論ある』
横目でカルマ君を見ると、彼は気にしていない様子だった。
「別によくね?そこまで詮索しなくてもさぁ…蝶ちゃんは俺らの仲間ってだけじゃ、ダメな事でもあんの?」
「ダメとかじゃなくて知りたいだけなんだ。今までもちょっと気にはなってたけど…でもさっきのロヴロさんの話聞いてたら益々気になったっつーか」
今度は杉野君が言った。
そうだよね、気になるものは気になるし、怪しいよね。
でもごめん。
仲が良くても良くなくても、友達でもそうじゃなくっても、私は人に自分の全てをさらけ出せるほど強い精神を持ち合わせていないんだ。
『…ごめんね、皆の事を信用してないとかじゃないの。ただ、あまり人に知られたくない話ってだけで』
私がそう言えば、教室の中の誰かが言った。
「でも、中原さんなら全部知ってるんじゃないの?」
なんでそこで中也さんを出してくるの?
どうして、“そこ”に踏み込もうとしてくるの?
私とあの人の何を分かってて、ここでそんな事が言えるの?
「ちょっ、言っていいことと悪い事ってあるよ。今ここで中也さんは関係ないでしょ」
そもそも私は普通の女の子じゃない。
それだけだって、人に告白するのに凄く勇気がいる事だ。
更に加えれば戸籍もなく、血縁者もいない。
皆と…普通と違うところが一つ、また一つと頭に浮かぶ。
この体質と能力は生まれつきだし、それを目的にあんな恐ろしい目に遭ってきた。
幸せに暮らしていても、またあいつらはわたしの幸せを奪いに来た。
中也さんがいなかったら、白石 蝶はここにはいない。
あの人がいたから、今の私がここにある。
