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第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ


ロヴロさんの言葉に反応して手が止まる。
何で?
一度しか会っていなかった上に、私はまだまだ小さかったはず。

「君の事はよく覚えている。あの時よりも成長してはいるが、その髪と目…そして先程の身のこなしと蹴り。どれをとっても、ポートマフィ『やめてください』…」

ポートマフィアという名前を出そうとしたロヴロさんの言葉を遮る。
別にポートマフィアである事が恥ずかしいわけでもない。
寧ろ私自身が誇りを持って、生きた証を作れた居場所だ。

しかし、ただのボディーガードだと嘘を吐いている私の正体をバラされるのは、仕事上の都合というのも勿論ありはしたが、嫌だった。

折角できた友達に、離れられるのが怖かった。

烏間先生やカルマ君なんかは理解を示してくれているが、皆が皆そうなわけではないだろう。

「疑問に思っただけだ、嫌な思いをさせたのならすまない。…確か蝶と呼ばれていたな。本当に疑問に思うだけなんだ、君が…君ほどの実力を持つ者が、どうして今ボディーガードなどというものをしているのか」

ロヴロさんの問いには何も答えられなかった。
少しざわつく皆を見て、気を遣ってくれたのかカルマ君が皆を解散させてくれた。

「先生方から、今日は護衛の生徒が一人遅れてくると聞いていた。それがまさか君だったとは思いもしなかったが…どうして、殺しをやめたんだ?」

私が殺しをしなくなった理由なんて、とっても単純な事。

『…私の大好きな人が、止めるんです。どうしようもなく心配して、一人でしようものなら自分の仕事だって放って駆けつけてきちゃうくらいで。気がつけば、私に回されるはずだったそういう仕事を、全部その人が片付けるようになっちゃってて』

危険だから、危ないから。
お前はそんな事をしなくてもいいからと言って、人を殺める事は、いつの間にかさせられなくなっていた。

そのせいなのかなんなのかは分からないが、私が殺しをやめてから、中也さんが幹部になるんじゃないかというような噂が流れ始めたのである。

無理しないでって言っても私にも頼ってと言っても、結局一人で恰好つけて行っちゃう中也さんに、今もだとは思うけれど、小さな私は守られてばっかりだった。

「ち、蝶!その話、あんたもしかして元々殺しをやってたって事!?」

ようやく私が“そっち側”の人間であるという事を知ったイリーナ先生は酷く吃驚している。
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