第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
『中也さん、殺すのは良くないよ?…そんなすぐには楽にさせない』
低い声でぽつりと言えば、中也さんは冷や汗をたらりと流した。
「そ、そうか…お前が不機嫌だってのはよく分かったが、えらく怒ってんな?」
『中也さん以外にベタベタされるの嫌、嫌い。中也さん好き』
「って、結局甘えに変わんのな?仕方ねえ…だがな蝶。次誰かにベタベタされて返り討ちにしたら、やっぱ真っ先に俺を呼べ。締めねえと気がすまねえからよ」
『…はーい』
中也さんの言う通り、最終的には中也さん症候群へと変換される私の意識は、中也さんによって簡単にあやされる。
お仕事中に来ちゃって申し訳なくはあったけど、保護者感覚なのか何なのか、私を守ろうとしてくれてるのを伝えてもらえたから。
『えへへ、中也さんに会ったらすぐにどうでも良くなってきちゃった』
「そりゃあ便利だな、後俺に役得ってやつがある」
『何それ?』
「お前は気にしなくていいんだよ」
何だか少しはぐらかされたような気もしたが、とりあえず機嫌の直った私は学校に行くことにした。
『ああー!また私お昼急いで食べなきゃじゃない!!』
教室に入っての第一声がそれだ。
「お、蝶ちゃんお疲れ様~。今日は面白いことやってるよ」
『へ?面白いこと?』
カルマ君が最初に話しかけてきてくれたが、何やら興味深い話が聞けそうだ。
「うん、それが…」
『!ごめんカルマ君、ちょっと抜けるっ』
「え、蝶ちゃん!?」
彼から話を聞こうとした時、ただならぬ気配を感じて職員室へと走った。
この教室で今まで感じたことのない殺気…この感じは、恐らく本物の殺し屋だ。
しかし、なんで職員室なんかにこんなに熟練したような殺し屋が?
私が気配を察知するのに数秒かかっただなんて…
職員室の扉を勢いよく開け、何故か烏間先生に向かって殺意を少し漏らしているその殺し屋を捕まえるべく、烏間先生の前へ飛び出す。
すると相手も同じタイミングで出てきたようだったので、中也さん直伝の蹴りを相手がナイフを持っていた利き手に食らわせ、怯んだ隙に床に組み敷いた。
そして銃をテレポートさせて握り、相手のこめかみに当てる。
「ぐっ…な、何者だ」
『何者だはこっちの台詞ですよ。何で殺し屋なんかが烏間先生を……!貴方もしかして、“殺し屋 ロヴロ・ブロフスキ”…!?』