第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
事件の犯人を警察に引き渡してから、賢治さんと中島さんは牛丼を食べに店に入りたがっていたので、報告書は私がやっておくからと言って探偵社に帰ってきた。
「し、白石!どうして今日は賢治がついて行って……」
私が戻ると、賢治さんと一緒に行っていたという事に動揺した国木田さんが近付いてくる。
しかし、さっきから無性にイライラする私は国木田さんを睨みつけてしまった。
『すみません、後で中島さんに聞いてください。……報告書、すぐに作ってすぐに出ますから』
「なっ…何があったかは分からんが、お疲れ様……でした」
私のイライラが通じたのだろうか、怖気づいた国木田さんが、恐らく無意識に私に敬語になっていた。
報告書を作り終えて提出し、すぐに扉を作ってポートマフィア拠点の立原の部屋へ。
『お邪魔。』
「おおおっ!!?」
最早“します”と言う気すら起こらないほどに、中也さんを求めて私の体は重く動く。
『ごめんね立原、私今多分中也さん摂取しなきゃ鬱になって魂どっかいっちゃうから、今回は許して。じゃ、またね』
顔も見ずに退室すれば、一体何だったんだ?と困惑した立原の声が聞こえた気がした。
そして何気に再会後初となる中也さんの執務室前に到着して、遂に自分が抑えきれなくなってノックもせずに……
『中也さん!蝶です、中也さんの蝶です!!』
「な、何でお前がここにっ……うおお!!?」
走って突入し、ソファに横になっていた中也さんの上から飛び乗った。
ソファのすぐ側にある机の上には、恐らく食べ終わったばかりなのであろう本日の愛妻弁当が、まだ片付けられずに置かれていた。
ぎゅーっと力いっぱい抱き着いていれば、流石に上に乗られていて苦しかったのか上体を起こし、私を膝の上に座らせて背中を撫でる。
『…………さっき任務で、敵の男に身体触られて気持ち悪かった。蹴り倒してやったけどスッキリしない。中也さんで消毒してから学校行く』
あまりの気分の悪さに一気に説明したが、話せば今度は固まる中也さん。
「触られっ!?おいどこだ、どこ触られた。あとそいつら今どこにいやがる、教えろ」
『ダメだよ、もう警察に引き渡してきたから。……肩と顎と腰元。』
「んなっ!!?っんの野郎が……おい蝶、次から同じような事する奴がいたら、始末した後、警察に引き渡す前にまず俺を呼べ。そいつら殺す」