第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
相手が言うには、直ぐに大人しく引き下がったから何か重要な証拠を掴まれたのではないかと思って来たらしい。
しかしそんな証拠は一つも私達は持っていない。
賢治さんなんてついさっき、お腹すいてきましたねなんて言って牛丼屋さんに入りそうな勢いだったというのに。
「そうだったんですか!正直に教えに来てくださってありがとうございます!僕の担当する事件では、こうやって皆さん素直に教えに来てくださるんですよ」
だから、賢治さんはいつも通りに、わざわざ自白してくれた相手の方々に丁寧にお辞儀をする。
「「「えええええ!?」」」
そして、またもや心を通い合わせればと賢治さんが中島さんを諭し、中島さんが納得をという流れが。
けれども、中島さんがそうなんだと言い切る前に、賢治さんは相手に鉄パイプで頭を殴られた。
そこで初めて中島さんは、自分達が敵に取り囲まれていたことに気がついたらしい。
「ど、どうしよう蝶ちゃん!?」
『ふふ、安心して下さいよ、大丈夫ですから』
私が笑っていたのが気に食わなかったのか、相手のひとりが私の胸倉を掴んで顔を寄せてきた。
「何へらへら笑ってやがんだてめっ…あ?中々いい面してんなあおい?」
何を言い出すかと思えば、舐めるように私の体、そして顔を見るその男。
そして近くにいた他の男も、私の方へと近寄ってくる。
気持ち悪い…
少し離れたところにいる中島さんが今にも相手に殴られそうになった時だった。
「いっ…ててて……」
賢治さんが、何事も無かったかのようにしてむくりと起き上がり、異能力の雨ニモマケズを発動。
近くにあった車を片手で持ち上げ、それを相手に向かって投げつける。
「ひっ!?お、お前、この女がどうなっても…」
『……ちょっと貴方、いつまで私の体に触れてんのよ』
思った以上にドスの効いた声が出た。
「え…………ぐああっ!!?」
そしてすぐさま回し蹴りで男を跳ね除け、周りに近寄ってきていた男達に蹴り飛ばして辺りを一掃する。
『私にそうやって触れていいのはこの世でただ一人、私の愛しい人だけよ!いい!?次触ってきたら容赦しないんだからね!!』
「「「こ、これで容赦してねえんすか…」」」
中島さんは敵を倒していく私と賢治さんを見て呆然とし、
「これは無理だ」
とようやく賢治さんのやり方を理解した模様。