第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
賢治さんの聞き込みの様子を感心して見ていた中島さんだが、賢治さんと知り合いだという一人の厳つい男性と鉢合わせて完全に怯えている。
どうやら今回の件の犯人に目星がついているらしく、証拠となり得る情報を提供していただけた。
「け、賢ちゃん…これは内緒だが、あいつら最近、裏で肥料とやらを取引してたらしいんだよ。……ぜ、絶対内緒だぞ!?」
どうして賢治さんを見て怯えた様子なのかは大体想像がつくが、ここまで直ぐに情報が集まるのも賢治さんだからだろうなと尊敬する面もある。
「肥料?どうして爆弾作りの為に肥料なんて…」
『窒素肥料だと思いますよ。それなら、今回の件の説明もつけられます』
「お、お嬢ちゃん中々頭がいいね。んじゃ、俺はここらで失礼するよ、頑張って」
厳つい男性は恐る恐る去っていき、中島さんは賢治さんに
「すごいね賢治くん!こんなに早く情報を教えてもらえるだなんて」
と尊敬の言葉を。
「心を込めて聞けば、誰とでも心を通わせることが出来るんです。僕はこの方法で失敗したことはありませんから」
「……そうなんだ!」
賢治さんの自論を聞いて、素直にそうだと思い込む中島さん。
ああ、違うのよ中島さん。
その方法は賢治さんでないとまともに通用なんてしないんですよ…!
とても言いたかったが、中島さんの心の純粋さを守ろうと、知らないふりを続ける事にした。
先程の厳つい男性に言われて着いたのは明らかにガラの悪そうな人達が集まる建物で、そこにいる人は皆金属バットやナイフ、鉄パイプ等の武器を持っている。
中島さんが隅っこで蹲って怯えていたが、気に止めずに賢治さん方式の調査を続ける。
相手の人達は皆、完全に嘘をついたような顔で笑いながら自分達ではないと言った。
私からしてみれば…というか恐らく誰から見ても嘘なのだが、賢治さんはそれが本当だと信じきって、ご協力ありがとうございましたと言って出て行ってしまう。
一応私も会釈だけして、中島さんを連れて外に出た。
外に出ると、流石の中島さんも疑い始めたのか、絶対さっきの嘘だよ!と賢治さんに訴えかける。
けれどもまた賢治さんの自論を聞かされ、純粋な中島さんはそれもそうだねと笑顔で納得。
これで大丈夫なのか中島さん…そんな矢先。
「よお、兄ちゃんら…」
先程訪ねた方々が、武器を持って私達を取り囲んでいた。