第25章 収束への旅路
「んで、あんたがち…澪の生みの科学者…なのは分かったんだが……本当、異世界なんてもんによく来れるな…?」
「元々はアタシ達の力不足でこうなっちゃった節がありますからね…そうか、貴方が玉を…」
玉…そう呟いた浦原さんは、その目で俺を見つめ始める。
…綺麗な瞳だ。
『あ、あのね喜助さん?この人は…その、悪い人じゃ…ない、よ…?』
「!ふふ、分かってますよ。貴女が選んだ初めてのお相手だ…よく分ける勇気を持ちましたね……おかげで制限が少し緩くなって、会いに来ることができましたよ」
「…ちょっと待て、それって…それじゃあ、とっとと分けてりゃもっと早くに会えたってことかよ」
「いやいや、それが…分けるといっても、そう簡単に扱えるような代物じゃあなくてですね。…貴方なら分かるでしょう?今の様子から察するに、かなり適性の高い身体だったんでしょうが…普通の肉体に移したところで、そっちが耐えきれなくなる可能性の方が高い」
いつかに言われたことがある。
俺には血液が供給できる…俺の血液を、蝶に供給することが出来るから。
だから、それはつまり…蝶の全てが、俺のために機能するように働いてくれるという理論の根幹となる。
「この子の身体には、常に地獄蝶をつけていました。そしてそこについていった地獄蝶がもう一羽…成程、いい相手が見つかってよかった」
「ちょっとちょっと、そろそろ難しい話ばっかりするの疲れてきたんだけど?あたし澪のこと連れて一回隊長にも会わせてあげたいし」
「それもそうですが…折角のお休みを邪魔してしまいましたしねぇ」
チラリと俺に隠れる蝶に目をやってから、浦原さんは困ったように微笑んだ。
「…あっ、分かった!この人も一緒に連れていけばいいじゃない!」
『えっ』
「「「…えっ?」」」
真っ先に声を発した蝶に集まる視線に、顔を俺の背中に埋め始める。
「…蝶さん?どうした?」
『い、いえ…なんでも…』
「…お前の猫かぶりがバレるの心配しとるんか?」
『はぁ!!?だから、猫かぶってるんじゃなくってあんたが一々突っかかってくるからこっちは…!!!』
「………お前の故郷か、見てみたいもんだな」
サラ、と髪に指を通し、目を見つめながらそう口にする。
『へ…、へ、っ…!?な、ななっ、…!!!』
「…ダメか?」
『い、行く!行きます、いいです!!!』