第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
扉を越えて探偵社の事務所に入れば、今日はいつもより少し遅めに来た為か、ほとんどの社員が揃っていた。
『おはようございます!』
「おはよう、久しぶりだねこんな時間に会うのは」
「おはよう。悪いな、任せてしまう形になって」
谷崎さんと国木田さんに挨拶し、敬礼のポーズをとる。
『いえいえ!先輩さんの役目ですから』
「ははっ、楽しみそうで何よりだよ。そっかあ、蝶ちゃんももう先輩なんだねぇ、早いなあ…」
烏間先生には昨日帰ってからメールで連絡しておいて、任務を終わらせて報告書を上げ次第、学校に戻ると言ってある。
『で、国木田さん、今日はどんな任務に?』
「ああ…それなんだが警察の方から仕事が回ってきてな。何やら街中で突然車が爆発して飛び上がり、近くの建物に突き刺さったんだとか」
国木田さんが説明を終えて頼んだと一言言えば、どこに隠れていたのか中島さんがびくりと肩を震わせ、弱々しくおはようございますと言って登場した。
『おはようございます中島さん。大丈夫ですよ、そんなに怖がらなくっても、今日は私が一緒です!先輩に任せちゃって下さい』
えっへんと胸を張って言ってみるものの、中島さんはまだ怖がっているようだ。
そんな様子を見兼ねたのか、近くにいた賢治さんが声をかけてくれる。
「じゃあ、今日は僕も一緒に行きますよ!三人なら怖くないでしょう?」
にこりと浮かべる笑顔が眩しい。
もしかしてこれが噂に聞く癒し系ってやつか。
賢治さんの提案でようやく覚悟を決めた中島さんと三人で、事件現場に向かう事にした。
現場の様子を確認して、まずは聞き込みから始めようということになり、賢治さんについていって商店街を歩く。
正直、賢治さんが同行しちゃったら賢治さんのやり方になっちゃうから中島さんの参考にならないかもなんだけど…なんて内心思いつつ、何か起こった時に対処出来るようにと周りへの警戒を強めて歩いた。
まあ、おおよそ車を爆破して中の人を殺したのは何処かの組織で間違いないだろう。
じゃないと、車が飛び上がって建物に突き刺さるほどの威力の爆弾なんて、普通は作れない。
そして動機は、細かい内容までは予測できないが、口封じか何かだと思う。
こそこそ爆弾つくるだなんて組織、その時点で十分な“黒”だろうから。