第25章 収束への旅路
『もう一人…って、……何、まだ生きてたの。本当しぶとい、執拗い、鬱陶しい』
「さんっざんな言い様やなおお…俺にも何か可愛らしい再会のご挨拶はないんかお前には!?ほんっまに可愛げのない____」
『…、そう』
おーおー、人が折角話を振ってやったのに地雷踏み抜きやがって…確かに馬鹿だなこいつ、蝶の元々の口調が顔を覗かせるのも仕方ねえ。
「え…れ、れれれ澪さん?…おい、そんな本気で怒らんでも…」
『怒ってないわよ別に…そんなに嫌なら、とっとと帰って雛森ちゃんにでも甘やかしてもらえば?』
「おっ前ほんまわかりやすい…、なんでそこで桃に妬いて……って、…澪…ッ…?」
『……いい、帰る。…中也さん、もういいでしょう?帰ろうよ…帰らせて、…っ』
嫉妬してるところまで分かっているのにも関わらずこの対応…離れていた期間が期間だから仕方ないのかもしれないが、これは…
「…ちゃんと挨拶できたのか?今ので」
『!!!…ダメ…?』
「可愛く聞いてもダメだな、自覚あるんだろ?…ちゃんとしなかったら、今回は一週間じゃなくて一ヶ月だからな?」
『……あんたのせいでこんなことに…』
ポツ、と漏れたのは本音なんかじゃない。
そんなこと、誰が聞いたって分かる。
分かる…はずなのだが。
「俺のせいやっちゅうんか!?えらい暴論やんけ…なんや、何をそんなに根に持って…」
『…ッ、…最後の、最後で…会いに来なかったくせに…、!!!そのくせ今になって現れて、人の唇奪っておいて!!?挙句の果てには可愛げないとか…っ、それならとっとと、あんた好みの可愛い子のいるところに帰っちまえばいいっつってんのよ!!!!!』
思いっきり振りかざした拳。
鳩尾に入れる…つもりだった。
そこに、中也が入ってきさえしなければ。
「興奮すんな、手しまえ」
『で、もっ…』
「殴っても蹴っても、相手だけじゃなくてお前の方だって痛くなるんだ…その手、さっきから真っ赤じゃねえか。それ以上痛くさせんな、そんなに殴りたきゃ俺のことを殴れ」
『!!!!…、むり、よ…そんな……なんでそっち側に…ッ』
「……あんさん、名前は?」
平子真子という名の人物と思わしき相手から話しかけられる。
「…中原中也。……こいつの保護者…兼、交際相手だ」
「!!!!……なるほど…?…っは、……何も言わんのか?俺に」
