第25章 収束への旅路
「ええっと…それじゃあ改めまして、アタシの名前は浦原喜助……この子の保護者…のようなものをしていました」
こっちが朽木白哉さん、それからこっちが…
「…平子真子や、よろしゅう」
促されるように挨拶をした二人。
場所は移って、探偵社の事務所の客間である。
乱歩さん以外の社員…それから、立原君にトウェイン君…異能力を無効化し続けている芥川君を連れ、御三方と対面した。
「…蝶……澪ちゃんの方がいいのか。…澪ちゃんの、保護者さん…ということは、澪ちゃんの生みの親というのが、あなたですね?」
私は太宰治という者で、澪ちゃんの同業者です、と名刺を出せば、それをにこやかに受け取られる。
…この人、相当な手練……頭も相当なものだ。
下手すれば、私や蝶ちゃんよりももっと…
「そう、なりますかね…何、警戒されなくても大丈夫ッスよ。別に今すぐあの子を連れて帰るとか、そういう為に来たわけじゃあない……ただ、会えてよかった…まだ死んでいなくて、本当に」
「まだ、死んでいなくて…?……彼女、自分が死ねないって…泣いていたような子なのにですか?」
「…自殺となると難しいでしょうね、力のある協力者がいないと…だから、誰かに殺されてしまっていなくて本当によかった」
「けっ、……あいつが誰かに簡単にやられてくたばるタマかよ」
少々荒い言い方は、信頼あってのものなのだろう。
関西弁を使う男性…こと、平子真子さん。
先程蝶ちゃんの唇を奪った男…中也がいなくって本当によかった。
「…平子さんは、澪ちゃんの恋人かなにかで?」
「はァ!!!?んなわけあるかい!!?」
「うっわぁ、キスした相手に対する言いようがそれっすか」
「…平子隊長は万年片想いだからな、恋人ではない。決して」
「強調せんでええんやそういうところを…!!」
事実が発覚したところで、乱歩さんが中也を遠ざけておこうと提案した理由が全員分かった。
ああ、なるほど…これは史上最高に厄介な相手が出てきたなあ。
私なんかが踏み台にされてしまうほどの相手が…
「じゃあさっきのはラッキースケベに…」
「事故や言うてるやろ、事故やて…!!」
「でも平子さん、事故で済ませちゃいけないと思うんですよね〜……あの子の反応見てまだ気付きませんでした?」
「…反応見ても何も、知っとったわアホ……」
