第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
『ダメだよ中也さん、私は中也さんといたいって言ってるのに…お願い聞いてくれないんですか?』
「お願いって…そ、そんなもん聞かねえわけねえだろうが。クソ、嬉しい事言ってくれるぜ。」
中也さんはお願いすれば、出来る限りのことなら聞いてくれるから。
嬉しいと言ってくれたのには驚いたが、心がじんわり暖まった。
『で、中也さんは何でいきなり私の後ろから?』
「何でって…お前が今日は広津さん達に土産渡すっつうから、終わんの待ってたんじゃねえか。最近何やら夜通し何かの設計したり調べ物したりで忙しそうだったみてえだし」
夜通しの設計や調べ物…それは間違いなく律の事だろう。
確かに彼女を改良するにあたって、勿論それなりに考えなければならない部分もあったので、色々と調べていた。
しかし、私が彼女に施したものは、改良だけというわけではない。
あれだけ知能も学習意欲も高い律に、私の情報を易々と漏らすわけにはいかなかった。
だから探偵社とポートマフィアくらいにしか存在しないであろう私のデータを守る為…それが最終的に探偵社やマフィアの為にもなりはしたのだが、そこをハッキングされないように手を打っておいたのだ。
勿論、自分の能力をフル活用して、律にはその情報の存在に気付かせもしないような、そんな策をとっている。
恐らくこれには殺せんせーも気がついていない。
『忙しそうだったなんてそんな…でも確かに、中也さんが不足気味かもしれません』
「不足気味って、お前のバッテリーか何かか俺は?まあここで話してても仕方ねえし、帰んぞ。後、今度立原と話す事があったら俺が呼んでたって言ってくれ。ちょっとあいつには教育が足りないらしい」
指をパキパキ鳴らす彼は黒いオーラを放ってはいたが、中也さんからの頼まれ事を私が断れるはずもなく、二つ返事でオーケーしてしまった。
ごめん立原、多分中也さん相当悪い事考えてる顔してたから頑張って。
私は心配だけはしておいてあげるよ。
『んふふ、中也さん充電~…ああこの感じ久しぶり、幸せ~♡』
ベッドに入った瞬間に中也さんに抱き着く。
最早寝る時の習慣となったものだが、作業ばかりで数日間ろくに中也さんを満喫出来ていなかった私には最高のご褒美となった。
「幸せって…俺も大概幸せもんだよ」
『………ん?中也さんも幸せ?』
「う、うっせえ!!寝ろ!」