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第25章 収束への旅路


「おいこら谷崎兄、手前の妹だろありゃあ…?なんとかしろよ兄だろ手前??なァ??」

「ひぃ、っ!!!?いやいやいや、僕さっきから離れるよう説得して…」

「あの女やるなぁ、あんなに中也さんのこと煽るなんて…」

肝が据わってるぜ、なんて言う立原をよそに、目の前で繰り広げられる光景に冷や汗を流す。

あれは危ない、蝶が危ない…そして何か新しい道への扉が開かれそうで。
やめろ、蝶にはそんな世界は見せなくていい頼むからやめてくれお願いしますから!!!

「おやおや、混乱して恥ずかしがりすぎて蝶ちゃんが目を回しちゃってるよ…ほら、私が守ってあげ____」

太宰の野郎がそこへ介入し、蝶の肩に触れようとした瞬間だった。

思わず体が動いて、パシ、と太宰の手が蝶の肩に触れる前にその腕を掴む。

固まる周りの空気を察知しながらも、一度太宰に目を向けてから、すぐに蝶に腕を回してそちらを見た。

「…怖い怖い、そんなんじゃ怖がられちゃうんじゃない?蝶ちゃんに」

「はっ、言ってろ…蝶、お前大丈夫だな?なにかに目覚めたりしてないよな?」

してないって言ってくれ頼むから。
俺を…せめてまだ男を恋愛対象として見ていると言ってくれお願いだ。

『ち、蝶…は…』

「あー…いや、うん、そんなに心配しなくて…も……?」

しかし、俺のことを考えて心配になっているにしては様子がおかしかった。
彼女は俺に対して…非常に不服だと言わんばかりの表情を向けて、本気で拗ね始めたのだ。

「蝶……さん?」

思わず敬称を付ける。
何かがやばい気がした。

『…蝶より先に太宰さん?』

あっ、詰んだこれ。
スイッチ入れちまった。

「ち、ちち蝶さん…今のは不可抗力でだな?」

『蝶より先に太宰さんの手握った』

「握ってなくてあれはお前に触れねえよう止めただけで『蝶より先に太宰さんの方向いた』悪かったって!!!」

『…人間悪いで済んだら感情いらないのよ?』

言葉の重みが違う、こりゃ相当妬いてやがんな。
どうしたものか、と窮地に追いやられていれば、蝶が何かを思いついたように手元に酒を移動させる。

…あ?酒?

『蝶のこと二番目にした罰。洗いざらい本音吐かせる』

「は?本音ってお前…っ、おい、酒は流石にやめとくべきだって!!」

『蝶の注いだお酒が飲めないの?』

「…ッ、どうなっても責任取れねえぞ…」
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