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第25章 収束への旅路


「というわけで、大人しく祝われて盛大にはしゃいで甘いものでも食べてなさい君は」

あ、蛞蝓は帰ってもいいよ?
などと抜かしながらいちいちこちらの怒りを煽ってくる太宰に、まあ今回は蝶のための催しであるしな、と怒りを鎮め、仕方がないが引き返そうとするのだが。

「手前に言われなくとも、俺は部外者だか……っ、ああ〜…蝶さん…?」

『…やだ』

「蝶さん蝶さん、今回ばかりは…今回だけはお前のための催しだからよぉ…」

クイ、と引かれる外套に、しゃがんで目線を合わせて説得するも、恐らく俺の意見が通ることはない。

「太宰さん、今日はポートマフィアから中原さん達も参加するって話じゃ…」

「『え…』」

人虎の一言に、俺も蝶も拍子抜けする。

「ちっ、バレたか…中也だけ帰そうとしたのになぁ」

「ダメだろ太宰?そんなことしたら蝶ちゃん来ないに決まってるじゃん、ただでさえ今日は素敵帽子君にベッタリなのに」

見抜かれてやがる…恐らく隅々まで。
名探偵からの目線にドキリとしつつも、しかしこれでようやく納得がいった。

俺に対してのサプライズでもあったのか…

黒蜥蜴をちらりと見てから、くしゃ、と蝶の頭に手を置いた。

「……だとよ?…どうしたい?」

『…中也さんは?』

「俺はお前が好きなようにしてほしいな」

『………谷崎さんの手作りケーキからいただきます』

ええ!!?もうバレてた!!?

なんて言葉を発して本気で驚く谷崎。

「流石ですわ蝶ちゃん、兄様のケーキを察知するだなんて…!!そこが可愛い、愛おしい…っ!!!」

『えっ、ナオミさ…ッ!!!』

否、評価を改めよう。
谷崎潤一郎の妹…蝶を抱きしめて目の前で奪い取ってくれやがったそいつ。

そちらを直視せずに、ジロリと谷崎兄に目を向ける。

「な、ナオミ?蝶ちゃんいきなりでびっくりしちゃ……僕の命が危ないから早く中原さんに返してあげてぇぇぇぇ!!!!」

「?何を言ってるんですのお兄様?ナオミは女の子、蝶ちゃんも女の子…ねえ蝶ちゃん♪」

『ッひぅ、…っ!!?』

ふ、と耳にかけられる息に途端に赤面する蝶。

「ンな…ッ…!!?手前とっとと離れろそこ!!!!」

「あらあら、嫉妬ですの中原さん?ダメじゃないですか、こんなに可愛い蝶ちゃん…ちゃんと守っててあげないと」

まさか探偵社の女の中ににこんなに危ない奴がいたとは
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