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第25章 収束への旅路


名探偵の言葉に、さらに分からないといった表情を蝶はする。

この表情を、俺は何度見てきたことか。

『復職、って…い、や……だって私、探偵社のこと「裏切ったなどと口にするなよ?うちとポートマフィアの提携を忘れたのか貴様は」!国木田さん…』

この場で最も堅そうな人間からのまさかの応答に、何も言えなくなる蝶。

そうだ、確かに“今この関係性を保っている”探偵社とポートマフィアであれば…裏切り行為には値しない。
お互いに停戦協定を結び、なおかつ緊急時における両組織の目標は、横浜の街を守り通すこと。

むしろそのために、うちと探偵社とを結びつけてくれたのだ、蝶は。

「そーいうこと!ていうか鈍いなぁ蝶ちゃんも、僕達最初から、君が戻りたい場所に戻れるようにって覚悟はちゃんとしてたんだからさぁ?」

『え、…それ、どういう…』

「ほら、蝶ちゃんが元々いたところに帰れなかったからって理由で、ほぼ強制的にうちに所属することに決まったじゃない?…蝶ちゃんが帰れるようになったら、ちゃんとそれは叶えてあげられるようにしたかったんだよ、皆」

谷崎とやらが説明した。
恐らく、こんなにも考えられて、思われていただなんて…蝶だけが気付いてはいなかった。

「まあ、確かにうちとポートマフィアとじゃあやってる事の理念は違うが…気が向いたらまたうちに力を貸してくれればいいさ」

『そ、んな…私そんなこと言ってもらっていい、人間じゃ…』

その場にいる探偵社の全員がため息を吐く。
俺も同感だ、今更何言ってやがるこいつ。

「そういうところは本当に馬鹿だな」

「あほだね」

「同感だ、俺もそう思う」

国木田、江戸川、立原と、ついにこちらの人間までもが言い始めた。

「蝶?俺はこんなことが起こってるだなんて知らなくて、確かに何事かと困惑はしたが…お前本気で分からねえか?……この会、明らかに後ろで手ぇ引いてる人間もやってる奴らも、何なら当人よりも乗り気だぜ?」

『後ろでって…そんなの誰が…?……あ…』

気がついたらしい。
そうだ、こんなことを思いつく人間…思いついた上で実行“させることができる”人間、“二人”しかいない。

「そういうことさ蝶ちゃん…いつがいいかって話してたんだけど、森さんから連絡があってね?社長に話を通して、今日になったのだよ」

嫌な声が耳を通る。
包帯の付属品の登場だ。
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