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第25章 収束への旅路


『…なんで立原も一緒?』

「お前が体調崩してぶっ倒れてたからだっつの、大人しく心配されてろ」

『中也さんはあげないからね?手出したらサシで絞め…尋問する』

「お前今素出してたろ?なあ、絶対この業界長ぇだろ?」

「…俺のこと自分のもんにしてんのに立原とばっかり喋んのか?蝶さんよ」

『!!!立原?誰それ、蝶知らない!』

「おい」

腕を絡めて歩いていると、そこにギュッと抱きついてきた。
我ながら大人気ない、すまん立原、しかし俺は己の欲望に忠実になったまで。

探偵社のビルに到着すればエレベーターに乗り込み、そのまま事務所の扉の前までたどり着く。

…何気にちゃんとした理由でここに来るのも久しぶりだ。
普通はありえなかったことなのだが。

扉を開けようとすれば、しかしそこであることに気がつく。

「…蝶?」

『…!…な、なに…?』

「いや、ここは流石にお前が開けるかと思って…どうした?」

いつもなら…通常なら、蝶が入っていくのに。
俺の腕を掴んだまま、何故だか申し訳なさそうな顔をして、彼女はそこから動きにくそうにしていたのだ。

『なんでも…』

「……入りにくい?」

ポートマフィアに戻りたい…その意志を、もう全員が知っている。
しかしここは探偵社。

自分に対してこんなにも良くしてくれた、第二の居場所。

あたたかい場所…だからこそ、胸がしめつけられる。

首を横に振る蝶に少し強情さを感じはしたが、今回の場合は恐らくこれで入ってしまった方がいい。

ドアノブに手をかけ直して中に入る。
しかしそこで、俺は…いや、俺と蝶は、思考回路を停止させることとなった。

パンッ、と次々に鳴り響く小布のいい音に、カラフルに華やかになる視界。

それを蝶も目にしていて、ハッと気づいてそちらをみれば、目を見開かせて立ち尽くしていた。

「蝶ちゃん!!復職おめでとーーーーーう!!!!!」

探偵社の名探偵が口にする。

塞がらなくなった口を震わせながら、蝶はまだ頭の整理が追いついていない様子である。

『え…?…こ、れ…は……?』

並べられた数々の飲食物に、飾り付けられている部屋。
それに、堂々たる存在感を示す圧倒的なデザート量。

…よく運び込んだなこれ。

「なにって、だから復職祝いだよ。蝶ちゃんそんなに馬鹿じゃないでしょ?」
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