第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
あれから固定砲台の改良を終え、探偵社に顔を出すと頭に大きなたんこぶを作った太宰さんがいた。
サボりがバレて久しぶりに出社し、国木田さんに制裁を下されたのだとか。
慰めて~とおちゃらけた声で甘えようとしてくる太宰さんには、自業自得ですと言ってサヨナラしてきた。
まあ国木田さんにサボってるってことをリークしたの、私なんだけどね。
そして翌日、教室に皆集まり、自律思考固定砲台の体積が大きくなっていることに気がついた。
「あ!おはようございます、皆さん!」
「え、えええええ!!?」
機械の全面一面が映像パネルとなり、固定砲台の全身が映し出されるようになっている。
殺せんせーが驚く皆にプログラムを入れて改良した事を伝え、一日が始まった。
「けっ、生まれ変わったって、結局あのタコのプログラム通り動いてるだけで、中身はあのポンコツだろうが」
寺坂君は相変わらず気に食わないのか、固定砲台を毛嫌いしている様子。
「はい、仰る気持ち、わかります寺坂さん。確かに昨日までの私は、ポンコツ…そう呼ばれても仕方ありませんでした」
寺坂君の言葉に涙を流して泣く固定砲台。
「あーあ、泣かした」
「寺坂君が二次元の女の子泣かしちゃった」
「ちょっとまてそこ!なんか誤解されるような言い方すんじゃねえよ!!」
『ていうか寺坂君さあ、今日のこの子のこと馬鹿にすんの、やめてくんない?怒るよ?』
私が言えば、何で白石が怒るんだよと少し引いてくれる。
「白石さんは私に」
『ちょっと、それは内緒の約束でしょ?』
「は、はい」
殺せんせーと一緒に改良したのをバラされそうになったためそれを何とか防いだが、恐らく目の前にいる頭の切れるカルマ君なら、これだけで何をしたのか分かってしまったのだろう。
「へえ?」
すっごい笑顔でこっち見てくるから。
『な、何よ、良いでしょ別に』
「うんうん、やっぱ蝶ちゃんって蝶ちゃんだよね」
『何よそれ?』
機械の中で特殊なプラスチックを使って石膏像を作り出し、千葉君と将棋で対戦し、クラスの皆とは大分打ち解けてきた頃。
千葉君は将棋で何回かすると勝てなくなり、矢田さんは固定砲台に花を作ってみてとお願いをしていた。
人気者になったみたいで良かったなと思った時、誰かが名前を付けようと発案した。