第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
そして本日最後の授業。
ここで、さっき私が移動ささておいた部品が役に立つ。
固定砲台が銃を出したその瞬間。
ゴトッと音を立てて、取り出された銃が全て床に落下した。
流石にこれにはもう自力で対処できない様子の固定砲台に、クラス中が驚きを露わにしている。
私が抜いた部品は、固定砲台と銃を接合するジョイントを繋げていた螺だ。
それを銃が落下する寸前にそれぞれのジョイント部分にテレポートさせ、はめ込まずに落下させる。
これで、私の能力がなければ実現不可能であろうこの不可解な現象が起こるのである。
銃が外れはしたものの、それを直そうという気を起こす人物は、勿論誰もいなかった。
結局、授業が終わってから、烏間先生が直したのだが。
皆解散し終わってから、先生達が教室に集まってきた。
「白石さん、貴女って人はっ…先生本当に怖かったですよ今日!」
『ごめんなさい殺せんせー?でも、流石の私も頭にきちゃって』
「……で、能力使って本気で嫌がらせにかかったってわけね?あんた凄いわ」
『それ程でもないですよ、本当はもっと他にもやり方あったんですけど、皆や相手にバレたら面倒なものだったので』
そして溜息を吐く烏間先生。
「まあ、確かに俺は白石さんが何もしていないのを一日見届けた。本来ならばあまり良くないことであるとは思うが、今回は状況が状況だ、仕方ない」
『心労をおかけしてすみません、でも多分、もう大丈夫ですから安心して下さい』
「もう大丈夫?…まあ、白石さんがそう言うのであれば」
もう大丈夫だよ、ちゃんと仲間になれるから。
「ちょ、酷くないですか烏間先生!?さっき私が言った時はあんなに鬱陶しいものを見るような目で信用してくれなかったくせに!」
あ、殺せんせーも同じこと言ってたんだ。
烏間先生の対応が目に浮かぶなあと思いつつ、烏間先生とイリーナ先生に挨拶をして、二人には先に帰ってもらった。
『さて殺せんせー、始めますか』
「はい…ところで白石さん、こんな時間から作業って、本当に大丈夫なんですか?」
『もう中也さんには言ってありますから。それに、烏間先生には力添えしますって言っちゃいましたからね……ほら、早くやりますよ!』
殺せんせーを急かして、自律思考固定砲台の、殺せんせー風に言う“手入れ”を始める。
『大丈夫、きっと友達になれる』