第25章 収束への旅路
「君達さぁ…病気してる時くらいお互いもうちょっとしんどいはずだよね?ね??」
「首領、あんまり声が大きいと蝶が起きてしまいます」
「なんで君達結局同じ寝台で寝ちゃってるの本当…そんな気はしたよ」
最早諦めの領域である。
大丈夫、これが常だ、何もおかしなことはない。
「…今回の発熱…これ、俺も蝶も、“風邪じゃない”ですよね?」
「!…ああ、よく分かったね?……感染したような風邪じゃあなくて、身体が“何か”に必死に対処してるために引き起こされた発熱だ…風邪だったら、朝君に飲んでもらった薬の効果がとっくに出てきているはずだからね」
「気付いたのは蝶ですが……すみません、黙って実行した結果、結局身体を壊してしまって…恐らく俺の方はまだ力が与えられた方だからいいですが、そう考えると蝶の方はかなり長引きそうかと」
「いいよ、黙って実行したくらいのこと。それは君たち二人が決めたことなんだ…そうだね、実に最初の身体以来なんじゃあないかい?蝶ちゃんがそんなに身体が変わってしまったのは」
俺の場合は恐らく蝶の逆で、身体で補わなくて良くなった機能が一気に出てきた影響で…恐らく体温自体は急降下するはずだったのだろう。
しかし、これも蝶の推測でしかないが、それを平熱に戻すために“核”が…俺のために過剰に直接作用をしているだけであると考えられる。
ただし、とどのつまり、俺はまだ蝶と比べて楽なのだ。
楽になるために調整しているのみなのだ。
それが、蝶の身体になると…
「…随分と明るく振舞ってますけど、やっぱりまだちゃんと機能しきってなさそうです……こんなに暑苦しいところでくっついてんのに、“汗すらかいてくれない”ですし」
「発熱してる分があるから、室温なんかで過剰に温めすぎるのもね…体感温度と体温が、上手く合っていない様子は?」
それは確かにあった。
実際、こちらの寝台に移るのも辛そうだったので、俺があちらの寝台へと移動したほどだ。
そして俺が入るなりなんなり、すぐにこちらに腕を回してひっついてきた。
最初は甘えているだけかと思いもしたが、それにしては呼吸が浅そうで…何よりも身体が震えていて。
「…少しそれは感じました。……移すにしても、こればっかりは人間を対象にしてとなると中々危険ですからね」
「ふむ…何か……いい方法がないものかね?」