第25章 収束への旅路
「今日は…二人揃って仲良く大人しくしててもらうからね?絶対に」
『…執務室でもい「それすると中也君のために動き回ろうとするからダーメ!」……大人しくしますもん』
蝶と並んで、動くことを禁止される。
いや、蝶はまだいい…俺は仕事くらいできるぞ?
流石に任務くらいは諦めるが…
「首領、自分は「中也君がお仕事し始めたらなんとしてでもこの子がいうこと聞かなくなっちゃうから絶対にダメ」…大人しくしてますって」
「二人揃って同じこと言ってる時ほど信用出来ないの、君たちの場合は!分かるかな?」
「『ご最もです…』」
二人揃うとお互い甘やかし合うからなぁ…
なんて呟かれていることもしばしば。
それほどまでにこの状況は拙い。
せめて俺だけでも元気であれば、蝶が俺の心配をすることも、俺のためにとせっせと働く気になってくれてしまうのも防げたはずなのだが。
その逆であれば、それはそれで蝶が動き回ろうと心配がないから構わないのだ。
「二人とも、今日一日お仕事禁止!!治るまで絶対に動かないこと!!」
ちょっとでも働いてる素振りが見つかったり、噂でも入ったら…
首領の言葉に、蝶と揃って息を呑む。
「……中也君は紅葉君に…そして蝶ちゃんを太宰君に看病してもらうことにするからね」
「『誠心誠意大人しくさせていただきます』」
「うん、いい子だね!じゃあ今日は、執務室への出入り禁止だから」
並べられた寝台に横になるよう促される。
恐らく首領のことだ、俺と蝶がいるところに誰かをおいておくようなことはしないだろう……が、動かないかどうかは本気で見張っておくであろうことから、本当に今日は休まざるを得なくなってしまった。
「中也君にはとりあえず薬を処方しておくよ。蝶ちゃんは恐らく毎度ながら効きにくいだろうし…朝とお昼はこっちで提供するから、二人とも台所にも立たないようにすること。いいね?」
「首領、流石にそれだと俺はともかく蝶が…」
食べたくないんじゃないか。
受け付けないのではないか。
そう思って口を開くも、脅されることも無理矢理言い聞かせることもなく、ただ当然のようにして首領は俺に言ってのけた。
「そこは、折角君と一緒にいてもらえるんだ…蝶ちゃんに食べてもらうのは君の十八番だろう?」
「……まあ、それは…はい」
『…!』
どこか蝶の表情が、嬉しそうに見えた。