第25章 収束への旅路
『中也、さんの…名前出され、って…♡っ…んぁ…、…キ、ス…して欲しかったら、電話、で中也さんにって…あ…♡あ、…んんっ…♡』
「あいつも大概分かってやがる…怖くはされなかったな?その様子じゃあ」
『ぁ…、中也さん、に…っれ…?ちゅう「お前俺のことばっかりかよ…キスしたら大人しく寝るんだぞ?」…!♡』
頭を撫でながらまた口付ける。
全く、可愛らしい奴だ…なんで他の奴に手ぇ出されかけてんのに俺のこと考えれるかな…
まあ、カルマのことだから何か上手くそう持っていったのかもしれないが…じゃなけりゃ今頃罪悪感に潰されるか、カルマに怖がって塞ぎ込んでたっておかしくない。
「薬飲むのが嫌なら、これ以上夜更かししないことだな」
『ん、…ッ…♡…も、っと…も…ちょっと…』
「…お前のもうちょっとはここから何回も続くって分かってんだよこちとら」
それでもしてやってしまうのだが。
なんだこいつ、本当に。
えらくねだるのが上手くなりやがった…ほとんどが俺のせいなのだろうが。
恐らく感染というような形で風邪をひかない蝶の身体に触れても、多分俺には移らないだろうし。
移ったところでそれはそれで構わないが、存分に可愛がってやれる。
安心しきった顔をして彼女が寝付くまで、俺の存在を確かめさせるように、何度も刻みつけていった。
『……ねえ中也、風邪?』
「なわけあるかよ、ふざけんな」
『…熱ありますけど』
「気のせいだ気のせい、気にす____」
無理矢理挟まれた体温計が鳴る。
そしてそこに表示される数値は、朝一で測った蝶の体温と変わらないくらいの数字になっていて。
…って待て、いやいや、今までこんな風に移ったことないぞ?なあ?
『熱、あるんですけど』
「…お前の能力使うのにまだ慣れてなかったとかってだけじゃねえの」
『………今日はお仕事は?』
「お前は?」
『「……」』
二人揃って風邪をひいたことなんか初めてで、お互い引くにも引けないし選択の余地もないし。
どうする?これは…俺がここで仕事に行きでもすれば間違いなく蝶まで学校に行くか、俺の仕事を手伝いに来るし。
「…首領にちゃんと診てもらおうか」
間違いなくこれが一番いい。
俺のためには間違いなく…そして蝶が下手に動き回らずにすむだろうから。