第25章 収束への旅路

｢…手前、今日はえらく好戦的じゃねぇか…っ、ﾊ…｣

『数日経てば慣れるよ…だからその前に、ちゃんと仕返ししとかなきゃ。………あと、蝶…手前って呼ばれるの嫌い』

｢っ、…余裕なくしてきやがったのはどこのどいつだっつの…、…ほら、口開けろ。食わせっから｣

『すごい、いつもならすぐに私のこと食べちゃおうとするのに我慢するんだ？』

｢て、め…っ、……熱あるくせして煽ってんじゃねぇぞ…｣

相当根に持ってやがるなこいつ…

いや、でもまさかこれほどまでに強烈な感覚だったとは思わなかった…それにこれが半分だなんて。

『蝶さん、余裕が無い中也さん嫌いじゃない』

｢…帰るまで我慢しろせめて……流石にここじゃ拙い｣

『ふぅん…』

キスもダメ…？

なんて言いながら、俺への当てつけのようにして耳元や首を指でなぞり始める蝶。
想像もしなかった刺激に身体が言うことをききそうにない。

｢ｯ、ｸ…、ま、て……手前っ…｣

『いっつも意地悪してくる癖に…中也さんだって弱いんでしょ』

｢っっ！！！？…ｯ、ぁ…！？｣

俺がするように耳を舐め始める。
恥ずかしいのか、どこか遠慮がちな気はしたが…それからそこにまた口付けられて、吸われて…

ｸﾀﾘと力が抜けそうになったところで、俺は咄嗟に思い出した。

そうだ、感覚がこんなことになっているのも、全てはこいつから核を受け取ったためであって…それならば、蝶の移し替えの能力も、少し前に行使したように使えるようになっているはずで。

余裕綽々といった様子で御満悦そうな少女に向け、一か八か、集中力を発揮してそれを使ってみる。

すると俺からおかしな程に積もっていたその感覚が抜け…

『…、ｯ…？……、な…に、し…ｯ……ぁ…、あ、ぁ…っ…♡』

かわりに蝶が、今度は最大限悶え切ったようなリアクションを、俺の目の前であらわにする。

頬に手を添えてやるだけでビクンッ、と肩が跳ね上がる。

『っひ、！！？♡…、ま…さか…ぁ…っ、あ…〜〜〜っっ♡』

｢…手前よくもやってくれやがったなぁ？…調子乗ってんなよ？俺はされんのよりも…する方が好きだって教えたろ｣

今日は絶対帰るまでしてやらねえからな、と笑顔でいいのけると、蝶が目を丸くしてからどこか絶望したような表情になる。

｢帰ってからが楽しみだなこれは？…楽しみにしとけ、とことん辱めてやるからよ｣