第25章 収束への旅路
「気分は?些細な変化でも構わない…生命エネルギーを半分俺に譲渡したようなものなんだ、何かあってもおかしくない」
『気分…ち、中也さんにお粥食べさせられててちょっと恥ずか「そーいうのじゃなくてだよ」ぅ…、…大丈夫だよ、そんなに心配しなくても』
元々永久的に失われない程の、膨大すぎるエネルギーを閉じ込めていたわけだから。
寧ろ、身体が今まで以上にそれを閉じ込めておくのが楽になっただけ…代わりに少しだけ、エネルギーの代わりに身体が補う割合が増えただけのこと。
反対に俺の方は、元々蝶の核であったそのエネルギーは俺のために作用する…そして俺の身体は、“そういった類の”ものを封印するにはもってこいの構造だ。
そして根本的な中身が蝶と同じものでできていて…蝶と同じ世界のものでできている。
そうじゃなけりゃ、移した段階で肉体が耐えきれずに崩壊していた可能性だってある。
元々は、そういう施術なのだから。
寿命となっていると推測されるそのエネルギーを移し替え、それで自分の命を削る。
ただ、移した相手の肉体がどうなるかは…そういうことだろう。
『…でもね、すごいの…今、私すごく生きてるって感じがするの』
「そう、なのか…?」
『うん…なんていうか……前ほど感覚が鋭すぎることがなくなっ「ッ、…!?…、ちょ、待ておま…っ」…中也さん?』
スル、と腕を絡められたその時。
感じたこともないような刺激が体を走り抜けた。
「な、…んでも…ッ!!?」
『…中也さん、今日はなんか可愛いね…、ん…』
こちらを振り向いた蝶は俺の後頭部に両手を回し、そのまま俺に自分から口付ける。
触れる唇が…いや、それだけじゃない。
触れられた頭が…指が触れる耳が、かかる吐息が。
全てが俺の神経を刺激する。
全てが、俺を震わせる。
「ン、…ッ…ま、っ……お、い…ッ、〜〜〜ッッ!!?」
『…キス、だけで軽くイっちゃった?』
「〜〜〜!!!!!?」
妖艶に微笑んだ少女に図星を突かれ、しかしその瞳に捕えられて、身動きさえもままならない。
なんだ、今の感覚…なんで俺、こんなに敏感になって…?
『……大丈夫、中也さんに移ったのは“半分だけ”だから』
私はもう、誰かさんのせいで身体に覚え込まされちゃったけどね?
少女の言葉に絶句する。
半分…?
これが…こんなものが、たったの半分…??