第25章 収束への旅路
『…、ん……』
「…!…どんだけ俺に飢えてんだよ…ったく」
蝶が寝付いたのを確認してからお粥を作りに行った。
だから彼女が今も寝たままであることに違和感は何らないのだが…
俺がその場からいなくなったことに気付いているのかなんなのか、彼女にかけていた俺の外套に身をくるんで、えらく寂しげに丸まってやがる。
用意したお粥と水を乗せたお盆を一旦置いて、寂しがらせたお詫びにちゃんと頭を撫でてやった。
『……、…?…中也さ…?』
「…悪い、起こしたな。…それとも、目ぇ覚めてた?」
『…ううん、今起きた』
嘘はついていなさそうだ。
俺の手に嬉しそうに擦り寄ってきて、やわらかく笑ってこちらを見る。
『いいにおいする…』
「あ?…ああ、食えるか?流石に何も食べさせねえわけにはいかねえと思っ『中也さんの手作り!!?』!?お、おう…?」
想像以上に食いついてきた。
目を輝かせながら俺の方を見つめ始める。
『…蝶、嬉しすぎてもう治っちゃったかもしれない』
「馬鹿、人間の身体がでけぇ変化にそんなにすぐ対応してくれてたまるかよ…ほら、熱い熱い。横になってろ病人は」
『ち、蝶…中也さんと「大人しくしてねえってんならお粥無し」!!!』
「…いらねえの?」
『いる』
「即答かよ」
最初であった時なんか、食べ物へここまで執着するようになるなんか思いもしなかったってのに。
「じゃあ、まあ上体起こすくらいは許してやるよ…起きれるか?」
『ん…、大丈…』
大丈夫、なんていいながらもフラフラしているように見える。
ダメだこいつ、背もたれがないと間違いなくしんどいやつだこれは。
しかし、生憎と保健室の寝台のフレームは大した背もたれになりそうにもないし…かといって教室に移動させるのもしんどい話だ。
…いや、まてよ?もたれられればいいんだよな?
「…ちょっと大人しくしとけよ」
『へ…、……っ!!?…、!?』
蝶を異能で少し浮かせてから、寝台の上に俺が座る。
そして俺の胸に背を持たれさせるように蝶から異能を解除すれば、素晴らしいサイズ感でフィットした。
「これでいいな、俺もお前のこと存分に可愛がれる」
『よ、くな…っ、……ち、近…ッ』
「ん?何か不満か?」
『ひぅ、っ…!……っ、』
耳元で呟いただけでこれだ。
ああもう、抑えろよ俺…相手は今熱出してんだから