第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
私のやけに御機嫌な笑顔を横で見ているカルマ君は、私に向かってあからさまにうわぁ、といった顔を向けている。
『何よ、カルマ君が一番分かってるでしょう?隣にいるんだし』
「うんうん、蝶ちゃんは何もしていないねえ?…まあそれにしても、大人気ないというか容赦ないというか」
「え、カルマ何か知ってんの!?」
「ええー?蝶ちゃんが何にも手を出していないっていう事だけなら分かってるかなぁ~」
そんな風に受け答えしてる時点でカルマ君だって共犯じゃない。
朝からずっと同じ笑顔を向けられている殺せんせーと烏間先生なんて、ヒヤヒヤしたような目で私を見ていたっていうのにね、カルマ君はやっぱ強者だわ。
まあこんなに生温い方法で終わるつもりなんてないけどね。
午後からの授業では、もっと奇妙な現象が起こる。
まず五時間目、今度は何が起こるのだろうと気になった子達が、ちらちらと固定砲台を見る。
六丁の銃を取り出し、殺せんせーの方に向けようとした固定砲台。
「…わあ、何、どうしたの?」
カルマ君、笑顔向けてちゃ疑問符付けてる意味無いよ。
固定砲台は銃を取り出してから、その銃を前方に向ける事が出来なかった。
つまり銃は全て横を向いたままだったのだが、それに気付かずBB弾を固定砲台は発砲する。
勿論こちら側に来るものは全て私が相殺するし、反対側には誰も座っていないから、被害に遭う人は誰も居ない。
「…白石さん、私の暗殺を妨害するのですか?」
『暗殺の妨害?貴女がミスしてこっちに銃を向けてるんだから、これは立派な正当防衛だと思うんだけれど』
「ミス…?」
今回私が移し替えたのは、固定砲台の中身の方。
機械なんだから、銃の向いた方を誤認識させてしまうように中身を入れ替えてしまえば、固定砲台は認識していなくとも、銃を前方に向けていないということに気が付けない。
「……システムを修正します」
『そう。暗殺がんばって』
笑顔を向ける私にカルマ君からは鬼だねと一言。
『カルマ君にだけは言われたくないかなぁ…』
言いながら彼に、固定砲台の後ろに落ちた小さい部品を見れるよう目配せする。
さっき、固定砲台がシステムの修正に取り掛かる前に移動させたものだ。
「もう手は打ってあるって訳か…流石の俺でも尊敬するよ」
丁度四十分後に、固定砲台のシステムは修正された。